藤代: 〇〇の経済効果について、その注意点など

J.K. 「〇〇億円の経済効果が見込める」と見聞きしますね。

藤代: よくあるケースでは、野球で〇〇が優勝すると「優勝セールで個人消費が100億円押し上げれ、波及効果を含めると200億円の経済効果」といった試算が示されることがあります。

この試算自体がどれだけ正確かということはもちろん重要ですけども、それよりも経済効果の数値が意味するところを考える必要があります。一つの結論として、〇〇億円の経済効果がそのままプラスになるのではありません。

J.K. そのままプラスではない、どういうことでしょうか。

藤代: ほぼ全ての経済効果について言えるのは、マイナスの影響が考慮されていないということです。

わかりやすい例としては野球。今年ですとSBホークスの優勝でセールなどが行われ、消費が刺激されれば、プラスの経済効果がありそうです。

ただ、ここで忘れていけないのは、巨人の優勝で得られるはずだった経済効果です。これがマイナスに効きますので、両方を差し引きすると経済効果はあまり大きくない、場合によってはマイナスになることもあります。

J.K. 野球以外にもたくさんありますよね。そういうケース。

藤代: 規模が大きい案件としてはオリンピックです。大きな経済効果が期待されていますが、一方でオリンピック期間中に日本人がテレビにくぎ付けになると、消費は逆に停滞してしまいます。

経済効果を計算する際は、そうしたマイナス効果を含めるのが理想ですが、現実的にはマイナスの影響まで計算するのは難しいので、現実の世界ではプラス効果だけを計算した数値が使われます。

報道でよく目にする経済効果は、あくまで大まかな数値が示されているに過ぎない、そういうケースが多いので、幅を持って解釈する必要があります。