藤代: 今朝は10円玉の資産価値が将来有望かもしれない、という話です。
J.K.: ビットコインなど暗号資産ではなく、なぜ10円玉なのでしょうか?
藤代: 10円玉の95%は銅で作られています。なぜ有望かといえば銅の国際価格が最近急上昇しているからです。2月に入ってから連日で過去最高を更新、現在の価格は1キロあたり、およそ1000円、1グラム1円です。昨年の年間平均価格が600円台半ばだったので1.5倍以上になりました。10円玉1枚に含まれる銅はおよそ4.5グラムなので、まだ価値は半分に満たないのですが、5年や10年といったスパンでは、額面の10円以上になるということも考えられます。
J.K.: ということは、10円玉を持っていると「一儲け」できるということですか?
藤代: 理論上はそうです。ただし、実際におカネに変えるとなると、クリーニングし溶かす作業に経費がかかるので、それで儲けるのは難しいと思います。そしてかなり前置きが長くなりましたが、そろそろ本題です。そもそもなぜ銅が高くて、それが何を意味するのか、これが今日のテーマです。
J.K.: 銅の価格が上がる背景に何がありますか?
藤代: 銅はスマホ、自動車、エアコンなどにかなり使われています。そこで景気が良くなると銅の需要が増えて、価格が上がるという、かなり安定した関係があります。つまり銅の価格上昇は、世界的な景気回復の裏返しであると考えることができます。
別の視点では、最近の株高が単にバブルではなく、相応の実体を伴っているとも言えると思います。銅は投資家が値上がりの目的で買うことが少ないので、株のようにバブルが発生しにくいという特徴があります。そこで最近の銅価格上昇は喜ばしい事象として受け止めて良いと思います。
そもそも論として、「景気回復が回復している」ことに違和感を抱く方も多いと思いますが、日本の街角、特に飲食は相変わらず閑散としている一方で、世界的にモノは良く売れて、景気がしそれなりに回復しているという事実を、認識しておく必要があると思います。