航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さんに、解説していただきます。今朝は「国産航空機開発再開へ」というトピックについてお伺いします。

J.K. 去年2月に三菱重工のスペースジェットが撤退したばかりの印象です

鳥海: 開発費1兆円を負担1社で負担することが、最後に耐えられなくなった、というのが実情ですが、今回は複数の航空機・部品メーカーなどが共同で開発を目指し官民合わせて5兆円を投入する大プロジェクトです。

J.K. 人命第一で安全対策が欠かせない業界ですが、日本の現状はどうでしょうか

鳥海: アメリカを代表する航空機製造のボーイングは、部品の品質低下が露呈、安全問題における改善が進まず納品遅れることが長期化していて、アメリカの威信にかかわる問題にまで発展しています。それもあって、EU生産のエアバスの信頼度があがっています。エアバス社も傘下にATRというリージョナルジェットを運航していて、日本の空でも見ることができます。この2社を追うブラジルのエンブラエル、カナダのボンバルディアに日本はチャレンジする立場です。

J.K. 現在の日本産業の国際競争力を考えると不安もありますが

鳥海: 日本の航空機産業は、海外の航空機製造の動きを待つ下請けの立場から脱却する必要がある時期にあるともいえます。ボーイングを中心とした海外の完成機メーカーに依存する、日本の産業構造を見直すためにも、完成機事業への参入が方向転換へのチャンスがあるのが現状で、過去の失敗を糧に攻めることが必要です。世界3位のエンブラエル社はブラジルでの輸出産業の柱で、このチャレンジは妥当だと思います。

J.K. 今後の見通しはどうなのでしょうか

鳥海: 2035年が量産機のスタートという目標で、水素燃料など効率的で持続的な航空燃料を使うなどの航空機を開発、三菱スペースジェットよりも大きい、100人乗り程度の旅客機というところが狙い目、といわれています。ただスペースジェットではアメリカの型式証明が取得できなかったことで実用化できなかったことも含めて、反省を活かして欲しいです。