今週はITジャーナリストの三上洋さんに、「マイナンバーカードがiPhoneに搭載」というニュースについて解説していただきます。

J.K. アメリカ以外でiPhoneを身分証明書に利用できるのは日本が初めてとか

三上: 日本のデジタル庁とともにApple Walletでマイナンバーカードを利用できるようになるとアナウンスがありました。Androidで導入済みの機能ですが、コンビニで公的証明書を発行するとか、マイナポータルアプリ経由で、行政サービスを利用できるようになります。時期は来年春の以降です。

J.K. 気になるのは紛失などにおけるセキュリティの問題ですね

三上: iPhoneのセキュリティ機能やプライバシー保護が、そのままマイナンバー・カードにも適用されます。つまりiPhoneに搭載されることで、たとえば、「探す」アプリでロックしたり、データを消去したりできるのが特徴です。iPhoneのウォレットという部分に登録されますが、このエリアはApple側でも情報を取得できず、暗号化されているため仮にハッキングなどの被害に遭ったとしても、スマホ内蔵のマイナンバーカードからの情報漏えいにつながらない仕組みです。総合的に見ると、プラスチックのカードを持ち歩いて使うより、スマホ内蔵のほうが安全性は高まると考えていいでしょう。

J.K. あと半年で保険証を原則廃止するという予定もありますよね

三上: 紙の保険証は今年12月2日に廃止されます。1年の猶予はあるものの、やがてはマイナ保険証に一本化されます。スマホのマイナンバーカードもマイナ保険証としての機能はあるのですが、一つだけ問題があります。それは病院にあるマイナ保険証のリーダーがスマホ対応していないこと。現在病院にはカメラが付いた顔認証リーダーがあるのですが、これがスマホ対応していないんです。そのため病院では新たにスマホ対応のリーダーを導入する必要があります。

J.K. 運転免許証との紐付けも進むという話もあるようですが、プラスチックのマイナカードはどうなるのでしょうか。

三上: はい。運転免許証との紐付けは2024年度中にスタートする見込みです。ただデータの紐付け作業に時間がかかる見込みで、実際に使えるのは2025年度以降になるのではないでしょうか。プラスチックのカードが従来通り使えることに変わりありませんが、今後は様々なマイナンバーカードの機能がスマホ対応になって安全性が高まると考えて良さそうです。それによりスマホの重要性がさらに高まることは間違いありません。端末ロックのパスコードを複雑にして、生体認証をちゃんと使うこと。スマホは身から離さず、紛失・盗難に遭った場合にどう対応するか事前にチェックしておく、などの安全対策が必要になります。