今週はITジャーナリストの三上洋さんに、「iPhoneにChatGPT搭載」というニュースについて解説していただきます。

JK アップルは先週、新機能「アップルインテリジェンス」を発表しましたね。

三上: アップルは他の大手IT企業に比べ、AI分野で遅れが指摘されていました。そんな中で登場した「アップルインテリジェンス」は、他社と大きく異なる「端末側でAIを使う」という方針を取っています。iPhoneiPadMacbookなどの端末でそのままAIが動かすのが基本です。

JK 従来の生成AIはブラウザで使っていましたが、それと何が違うのでしょうか。

三上: 従来は、ネットの向こう側、つまり運営企業が用意している巨大なAIを、私たちがネット経由で使うものでした。巨大で賢くかつ高機能なAIを利用できるのがメリットですが、スピードが遅い・料金がかかるなどのデメリットもあったんです。それに対してアップルインテリジェンスは、手元のマシンで動かすのでスピードも速いですし、料金もかかりません。従来のSiriよりも賢くなるほか、文章の要約、簡単な画像編集、絵文字の作成などでAIを利用できます。また複数のアプリをまたがる形で利用できるのも便利です。

JK いいことづくめですが、すべて端末側だけで処理できるのでしょうか?

三上: 端末側のチップで処理するため、どうしてもChatGPTなどの最先端のAと比べると賢さや機能は落ちます。そこでアップルでは簡単な処理は端末側で行い、高機能なAIが必要な場合は他社の生成AIを選択できる仕組みを提供します。具体的にはChatGPTの最新バージョンを利用できるほか、今後はグーグルのGeminiなど他社の生成AIも使えるようになる見込みです。

JK プライバシーやセキュリティはどうなるのでしょうか。

三上: ネット接続での利用ではないので、プライバシーの保護につながります。高度な計算処理が必要な場合は、アップルのサーバーでデータ処理され、アップル社がデータにアクセスできないしくみです、現状よりも格段にセキュリティが向上します。

JK 今後の見通しはいかがでしょうか。

三上: アップルインテリジェンスは、昨年発売した上位機種「iPhone15 プロ」などが対象で、今秋から英語で使えるようになります。別の言語での提供は来年以降になりそうとのこと。日本語も来年以降となる見込みです。あまりに遅いのではないかと言う指摘があります。生成AIの世界は日進月歩で、1か月でがらりと状況が変わるスピードが速いからです。アップルのAIがこのスピードに対応できるか、お手並み拝見という状況です。