経済評論家の加谷珪一さんに、「新紙幣がいよいよ流通」という話題について解説していただきます。

J.K. 20年ぶりという新しい紙幣が来週から流通するようですね。

加谷: 新紙幣は73日に発行される予定ですが、すでに45億枚以上が印刷されており、市場に出回る準備はほぼ整っています。日本銀行から各銀行に支払われたのち、私たちの手に渡ることになります。

J.K. 紙幣はどのようなタイミングで新しくなるのですか?

加谷: 紙幣は偽造防止などの観点から一定期間ごとに新しいものに入れ替えますが、おおよそ20年に一度が目安になっています。今回の新紙幣はホログラムなど、最先端の偽造防止技術が使われており、偽造がさらに難しくなっているといわれます。

J.K. ここのところ現金を使う場面が減ってきたような気もするのですが

加谷: 日本国内のキャッシュレス決済比率は上昇傾向ですが、それでも諸外国と比較すると、GDPに対する現金流通高は突出して高く、まさに現金大国となっています。1万円札の保有が多いことを考えると、おそらくタンス預金のニーズが大きいものと思われます。

J.K. 新紙幣に対応するATMや券売機、両替機などの対応はどうなのでしょうか

加谷: 金融機関など公共性の高い事業者は対応済みですが、飲食店などにある一般的な券売機となると、紙幣発行のタイミングですべてが対応済みとはいきません。インフレでコスト負担が増える中、事業者の中には、今回の新紙幣切り替えをきっかけにキャッシュレス決済に移行するところも出てくるでしょう。

J.K. 今後はどうなっていくのでしょうか  

加谷: 諸外国よりもゆっくりとしたペースとはいえ、キャッシュレス決済が拡大していく可能性が高いと思います。若い世代ではキャッシュレス決済は当たり前となっていますし、紙幣のデザインが変わったことをきっかけにタンス預金をやめ、銀行に預ける人も出てくることでしょう。