商品ジャーナリストの北村森さんに、生活経済の観点から解説していただきます。今朝は「佐渡島の金山」世界遺産登録への動きについて

J.K. ユネスコの諮問機関イコモスからの回答がありましたよね

北村: イコモスが4段階の評価で上から2番目の、「情報照会」の勧告。これは平たくいうと「登録検討に向けた価値は認められ、登録となる可能性があるが、追加の情報がほしい」というところにたどり着きました。具体的には、歴史説明と将来の展示について約束が求められている模様。

J.K. 気になるのは韓国が反対しているという動きについてはどうでしょうか。

北村: これは「強制的に働かされていた」との主張・反発に対して、どう議論を進めるかという話です。ただし以前の長崎・軍艦島のときのような対立とまではなっていません。今回は日韓両国ともに(特に韓国の政権側)歩み寄りの姿勢が明確に見られます。

J.K. そもそも「佐渡島の金山(さどのきんざん)」の魅力は何でしょうか。

北村: 佐渡島は、たとえ今年に世界遺産登録を果たそうが、来年以降に持ち越しになろうが、観光地としての実力は十二分で、金山に限らず、もっともっと注目を浴びるべき島だと思います。そしてそのポテンシャルはすでにあると強く感じています。つい最近も、私自身、佐渡島を訪れましたが、例えば江戸時代に北前船が寄港した地域で、今もその雰囲気をほぼそのまま残している「宿根木」。観光客だけでなく地元の人にも愛されている飲食店がある。見るからにお寿司屋さんだが、人気は「すし・ラーメンセット」であっさりしたラーメンは地魚の握り寿司と思いのほか合うんです。

J.K. 今後に向けてアクセスの課題についてはどのようにお考えですか。

北村: 地域航空会社のトキエアが、首都圏の空港と佐渡空港を結ぶ直行便の就航を計画中と聞きます。これが実現すれば、世界遺産登録に関係なく、人気はさらに高まるはず。あとは、島内の足を充実させてもらいたいところ。路線バスの便が不便、タクシーの台数も少なく配車に苦労する。レンタカーがあるが、より多くの選択肢はほしい。世界遺産頼みではない。来島にどれくらい本腰を入れるかが見ものです。