経済評論家の加谷珪一さんに「リフィル処方せん制度」という話題について解説していただきます。

J.K.そもそも「リフィル処方せん」とはどのようなものですか。

加谷:「リフィル処方せん」は医師が決めた一定の期間で、繰り返し利用できるという処方箋です。最初に医師の診察してもらえれば、2回目・3回目に薬を受け取る際に病院へ行かなくても よいので、通院回数が減らせます。当然診察や待ち時間にかかる時間も節約でき、医療機関へかかる回数が減るので、医療費負担も減ります。

J.K.どんな場合に「リフィル処方せん」を渡されるのでしょう。

加谷: 全ての病気に処方されるのではなく、対象となるのは生活習慣病をはじめ。とした慢性疾患の患者などで、そのなかでも症状が安定している方に限られます。そして回数の上限は3回です。つまり医師と薬剤師の間しっかりと連携が取られていることが前提となります。

J.K.この制度はいつから始まったのですか

加谷:実は2年前の20224月に導入されていました。20233月時点で、リフィル処方箋の割合は、全処方箋のごくわずかしかありません。多くの国で導入されている仕組みですが、日本では相当少ないといえます。 今年4月には、あまりにも低い普及率に対して、岸田首相は普及策を検討するようデジタル行財政改革会議で指示しました。

J.K.医薬分業から、マイナンバーカードの保険証など制度変更は急ですね

加谷:「リフィル処方せん」はについては、医師の仕事が減ってクリニックの経営が苦しくなることや、診療回数が減ることで患者の経過観察がおろそかになるといった問題も指摘されています。しかしながら、医療費の高騰は国民的な問題であり、何らかの対策が必要であることは間違いありません。医療費を削減しつつ、クリニックの経営が十分に成り立ち、看護師など医療従事者の待遇を改善するための本格的な制度改正が求められています。