今週はITジャーナリストの三上洋さんに、「世界時価総額ナンバーワン、Appleの株価の行方」というニュースについて解説していただきます。
J.K.: アップルの株価が高騰していますね
三上: 8月にアメリカの利下げ観測や、AIバブルが崩壊するのではという予測から、一旦はAppleなどのITとAI関連株は暴落しました。しかし9月から再び上昇し、10月15日には史上最高値を更新しています。現在アップルの株式の時価総額は、東京証券取引所の株全体のおよそ半分にあたる540兆円で、世界最大規模の企業となっています。
J.K.: なぜここまでAppleの株価はあがるのでしょうか。
三上: iPhoneの売上が堅調なこと、そしてAI=Apple Intelligenceの期待からアナリストの多くが高い評価をし、Appleの株価は上がっています。Apple Intelligenceは、主に端末内内蔵のチップで処理する人工知能です。ChatGPTなど生成AIはネット経由で巨大な人工知能を使いますが、Apple Intelligenceは端末の中で動くため情報漏えいの心配が少なく、一人一人にあった人工知能を育てられるのが特徴です。10月28日に英語版のApple Intelligenceがスタートする見込みです。
J.K.: Appleについてネガティブなニュースも目にしますが、今後はどうでしょうか。
三上: Appleが発行していたクレジットカードは、米消費者金融保護局(CFPB)におよそ140億円の制裁金を課せられました。分割でのアップル製品購入で金利がかからないと誤解させるなどの問題があったためです。またiPhoneの売上が低迷しているという報道もあります。もう一点不安なのが、Apple Intelligenceの本格スタートは英語版でも年内、日本語版では2025年とかなり遅い点です。
J.K.: これは生成AIの他社の進化のスピードを考えると、ずいぶん遅く感じます。
三上: その通りで、デビューした頃は時代遅れになっている可能性もあり、正直なところ実力は未知数です。今後は大統領選の影響もあるため、株価は一進一退の動きになるかもしれません。