経済評論家の加谷珪一さんに11月から変わった「自転車に関する道路交通法」について解説していただきます。
J.K.: スマホを見ながらの運転や飲酒運転の罰則が強化されたようですね。
加谷: 自転車運転中における携帯電話使用、いわゆる「ながら運転」について、従来は都道府県公安委員会の規則で5万円以下の罰金でしたが、法律にはなっていませんでした。今回はこれが道路交通法の対象となり、携帯電話を使用しながら自転車を運転して事故を起こした場合には、1年以下の懲役または30万円以下の罰金、危険を生じさせなくても携帯電話を手に持ちながら通話や画面を注視した場合には、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金が科されます。酒気帯び運転については、これまで罰則がありませんでしたが、今月から3年以下の懲役または50万円以下の罰金」となります。自動車と同じように飲酒運転をする恐れがある人にお酒を提供したという場合も、同じような罰則が適用されます。
J.K.: この法律は今年の5月17日に可決・成立されたと報道されています。
加谷:今月に入ってからすでに自転車の酒気帯び運転で逮捕者も出ていますが、逮捕された人は「今月から罰則が強化されたことは知っていたが、いつもやっていることなので、軽い気持ちで運転した」と供述しています。罰則強化について認識はあったようですが、相当厳罰化されていることはあまり認識していなかったかもしれません。
J.K.: 自転車以外に、電動キックボードや、違法電動自転車の危険運転も見ます
加谷: 今回は、自転車と勘違いされやすい「モペット」などと呼ばれる電動モーターやエンジンで走行できる二輪車についても明確化が行われました。ペダルをこいで運転するモードにしても自転車と同じ扱いではなく、原付きバイクやオートバイに該当しますので、注意が必要です。新しい移動手段が次々と出てきており、法律はなかなか追い付きません。
J.K.: 今後はどのようになっていくべきでしょうか。
加谷: 場当たり的な対応には限界がありますから、そろそろモビリティ全般に関する包括的な議論が必要かもしれません。