今週は経済評論家の加谷珪一さんに、総選挙の結果を受けた第二次石破内閣でのトピックでもある国民の「税金などの負担軽減」について解説していただきます。

堀潤: 新政権でまず議論されているのが、「103万の壁」ですね・・

加谷: パートやアルバイトで働く人たちが、手取り収入が減ることになるとして、働く時間をみずから調整するの「税制の壁」です。ただ、制度が複雑であるせいか誤解も多く、これが問題をさせに複雑にしています。手取りの問題には本人の所得税の話と配偶者や親の所得税の話の2つがあり、これを分けて考える必要があります。

例えばアルバイトやパートの人が103万円をこえて104万円稼いだ場合、発生する所得税は500円だけなので、増えた1万円を丸々受け取ることはできませんが、手取り自体は減りません。

一方、親や配偶者の控除に入っている場合、控除の対象から外れますから、本人ではなく親や配偶者の手取りが減ります。ただ主婦の場合には配偶者特別控除という制度がありますから、150万円までは手取りは減りません。この部分を勘違いして働き控えをしてしまっているパートの人はかなりの数にのぼると思われます。

堀潤: 国民民主党の公約ですが金額の問題でもないような気がします。

加谷: 国民民主党の提案は103万円の壁を引き上げるという話と、高額所得者も含めた国民全員に対する大規模減税策という2つの意味があり、どちらを重視するのかで評価は変わってくると思います。

堀潤 そして消費税の限定期間の減税、ガソリンの暫定税率廃止なども公約としてあがりましたが...

加谷: 国民民主党はまず103万円の壁を撤廃するための控除引き上げを最優先する方針といわれます。ただ交渉事ですから、場合によってはトリガー条項の発動や消費減税を議題に乗せる可能性もあります。これは交渉の進展次第というところではないでしょうか?

堀潤 今後の見通しとしてはいかがでしょうか。

加谷: 第2次石破政権はスタートしたばかりですが、以前の自民党と違って国民民主党の減税要求を強行にはねのけることは出来ません。国民民主党の提案は税に関するものですから、年末の税制改正大綱までに間に合えば何とか来年の通常国家に法案を提出できます。したがって一連の交渉の山場は年末になると予想されます。