ITジャーナリストの三上洋さんに、「マイナ保険証移行と医療DX」というニュースについて解説していただきます。

三上: おはようございます。

J.K. 2日から新規の紙の保険証の発行を停止したことが物議を醸しています。

三上: マイナ保険証の9月末時点での利用率は13.879%と大変少ないのが現状です。まだ1年は移行期間でもあり、今持っている健康保険証でも有効期限内であればそのまま使えます。またマイナンバーカードを持っていない、マイナ保険証に登録していないという人には、「資格確認証」というものが新たに発行され、自動的に送られてきます。ですので、来年の12/1までは現状とほぼ同じだと考えてもいいでしょう。

J.K. マイナ保険証にすると、どんなメリットがあるのでしょうか

三上: 薬や過去の受診した内容、特定健診などの情報を共有できることがメリットです。よりよい医療をうけることができます。また高額医療の申請が不要になる、確定申告が簡単になるなどのメリットもあります。これは医療DX(デジタル・トランスフォーメーション)という考え方で、従来までバラバラだった医療・保険・介護などの情報を共有し利便性を高めるもの。より良質な医療やケアを受けられるようになるという考えからは、今後その動きは加速していくと考えられます。

J.K. とはいえ唐突にスタートした、という印象もぬぐえません

三上: 日本は国民皆保険ですから健康保険証は強制的に全員が持つものです。それをやめて、任意発行のマイナンバーカードに統合すること自体に無理がありました。政府としてはマイナ保険証普及のために、無理をした形です。またマイナ保険証スタート時に、機器トラブルやデータ連携のミスがあったこと、ワンマンの医療機関では高齢者への操作説明が負担になっていることも問題でした。

J.K. 今後は従来のやり方とも平行していく必要があるのではないでしょうか。

三上: 本来はそうだったと思います。しかし完全に切り替える方針で決めてスタートした以上、よりよい医療のために、徹底して進める必要があります。マイナ保険証への不信感を拭うように進めて、利便性をアップすること、また医療機関への補助を強化することなどが必要です。