今週はITジャーナリストの三上洋さんに、先週発表になった「メタがファクトチェックを中止」というニュースについて解説していただきます。
J.K.: 独立したファクトチェッカーの使用を中止、というニュースは衝撃でした。
三上: マーク・ザッカーバーグCEOが現地時間1月7日ファクトチェックを終了し、コミュニティ・ノートモデルに移行する、と発表しました。これまでは複数のファクトチェック機関が内容をチェックすることで、真実性などを確かめてマークを付け、それにより表示数を下げるなどの取組をしてきました。しかしザッカーバーグは、ファクトチェック機関に政治的偏りがあることなどから、この方式をやめる決断をしたようです、コストの問題もあったでしょう。
J.K.: この決定については、どのように説明されているのでしょうか
三上: 今後はXと同じようなユーザー参加型のコミュニティノート方式に変更されます。これはユーザーが事実チェックを行い、投稿に対して注釈のノートを付けるという形です。ザッカーバーグは「自由な表現の原点に立ち返る時」だとしてファクトチェック機関によるチェックをやめ、投稿が誤解を招く可能性がある場合や追加の文脈が必要な場合には、多様な視点を持つコミュニティが、ノートとして有用な情報を判断する仕組みを取り入れるとしています。
J.K.: とはいえ、トランプ氏が就任目前の時期だけに裏がありそうです。
三上:Xのイーロンマスクがトランプ政権に入るとの話もあり、SNS全般に対する態度も大きく変わりそうです。おおまかな傾向としては「規制をゆるめて言論の自由重視」になりそうです。Xはまさにそうですし、今回のMetaの決定によって、規制が緩くなる傾向になるかもしれません。
J.K.: 今後はどうなっていくのでしょうか。
三上: XやMetaなどのプラットフォームは規制緩和の傾向ですが、SNSの問題は深刻化しておりオーストラリア、EUなどはSNSに対する規制を強める方針です。日本でも有識者会議で青少年への悪影響対策を検討する見込みです。SNSのプラットフォームと国家が衝突することになるかしれません。 最初の焦点は「Tiktok禁止問題」です。アメリカでのTiktok禁止は法律で決まりましたが、トランプ政権は具体的にどう対応するか。一部ではイーロンマスクが買収するのではなどの観測も出ており、トランプ政権発足後の動きに注目したいところです。