元日の石川県などを襲った能登半島地震。発生から半年が経ちました。仮設住宅の建設が進む一方、特に能登半島の北部の地域では、まだまだ発災当時から殆ど変わらない光景も報道されています。

今朝は、輪島市在住で個人で漆を用いて創作活動を行う漆芸家の桐本滉平さんに回線を繋ぎます。桐本さんの自宅兼工房は全壊、全焼したと伺っています。

Q 水道や道路も含めた、インフラ復旧はどの程度進んでいるのでしょうか。

主要な道路、人が多く住む地区については広範囲で復旧が進んできました。ただし珠洲市などでは、いまだ土砂崩れや建物の倒壊によって車両が通行不可能となっているエリアは、人が住むことも難しく、早期復旧困難地区として、復旧は見送りとなっています。

Q そんな中ご自身では現状でどんな活動をなさっているのでしょうか。

漆芸家として、事業再生を目指しながら、大きくは2つの活動に取り組んでいます。ひとつは輪島の漆芸文化の復興活動家です。輪島市内および、全国から、漆芸道具や材料のご寄付を募り、震災後も輪島で活動再開しようとしている職人さんたちへ、輪島の重蔵神社での譲渡会を開催しています。輪島市内からの寄付に関しては、被害を受けた建物内に取り残されている、不要となってしまった道具、材料、仕掛品を、片付けも含めて、できる限り救出しています。全国からの寄付については、同業者で福井県鯖江市の椀木地師「※木製のおわんの木地を作る仕事」をやっている酒井さんという方を中心に、東京にいる仲間たち協力の下、全国にいらっしゃる漆芸関係者の皆様から、眠っている道具を輪島にお送りいただいています。買おうと思っても、もう手に入らない道具も少なくないため、僕自身含め、皆様からのご寄付に大変助かっています。

もう一つは猫の保護活動です。僕自身も含め、震災で飼い猫が行方不明となった飼い主が輪島だけでも80世帯以上いらっしゃいました。飼い主たちと連携して、お互いの猫を探し合っています。これまでに飼い猫は50匹以上保護できています。さらに、今後野良猫が増えすぎることがないよう、野良猫たちの不妊手術活動、倒壊家屋などの危険な場所で生まれた子猫の保護活動も、10名ほどで協力しながら、並行して行っています。

Q首都圏のリスナーに向けて発信したいことをぜひお話し下さい。

能登の復興は決して能登だけの課題ではない、ということを強く意識していただきたいです。同程度の災害が今後日本のどこでいつ発生するかは予測不可能です。震災は地方の行政だけで解決できるような問題ではなく、日本全体で共通の問題として捉え、共に解決していくべきだと、今回の震災で強く考えるようになりました。いつ誰が被災者となるか分からないこの国において、この能登の復興における成功も失敗も、未来に活かされることを切に願っています。まだまだ能登の復興の道のりは長いです。震災復興は単なる復元ではなく、進化です。まずは、1人でも多くの人に現状と復興の軌跡を知っていただきたいと願っています。そして、これから徐々に復興が進んできたら、是非能登に足を運んでいただき、能登の人や文化に触れながら、能登はもちろん、日本のこれからを共に考えていただきたいと思っています。