環境月間の今月、J-WAVEでは様々な番組で自然環境にまつわるトピックをご紹介していますが、この時間に注目したいのは、光害についてです。...聞き慣れない言葉、ですよね。
私たちの生活に欠かせない 街灯/屋外照明。ですが、現状、多くの都市ではその光が必要以上に明るすぎてしまい、星空が失われ、生態系にも影響を及ぼしている、といいます。
光害に関する注意喚起、対策支援をおこなう国際ダークスカイ協会 東京支部 代表の越智信彰さんに詳しくお話をうかがいました。
屋外照明の普及、特に近年のLED照明の普及によって美しい星空が見える場所が世界中で急速に失われています。人工衛星や国際宇宙ステーションから撮影された夜の地球・多くの街明かりをご覧になったことはありますか?
とても美しいと感じる方が多いと思いますが、そこに映る光は"宇宙にまで漏れてしまった光"であって、エネルギーの有効利用の観点で見ると無駄になった光といえます。
夜空を明るく照らし、星空が失われる原因にもなっています。特に影響を受けている(生き物)はウミガメやホタル、渡り鳥、昆虫類。多くの生物が光に吸い寄せられたり逆に遠ざかる反応を示しますが、人間が設置した光によって動物に影響を与えてしまうということは、地域の自然界のバランスを崩すキッカケになる可能性がありますから、それによって様々な影響が及ぶことがわかっています。
防犯のためにも必要な屋外照明ですが、明るすぎるのも問題...2013年に国際ダークスカイ協会が発表した資料によると世界全体のエネルギー消費のうち、屋外人工照明に使用されている割合は8%。そのうち約60~70%が「浪費」されているといいます。そのムダを無くし、自然を守る活動。日本でも、徐々に広がりを見せています。
去年ですが、東京都神津島村や岡山県井原市美星町といった自治体が星空を観光資源として活用するためにすでに設置されていたLED街灯を大手電気メーカーに協力を依頼して光害対策型の物に交換する取り組みを行いました。実際に導入した地域では「明るすぎず落ち着いた雰囲気に変わって星もよく見えるようになった」と好意的な声を多く伺っています。
こうやって製品化されたことで今後同様の取り組みが全国に広がることが期待できると思います。光害対策は星空を保護するだけではなく自然を守りエネルギーを節約して私たちが健康で快適な生活を送るにも繋がる、誰にとっても身近な課題といえます。
環境を守るための照明の使い方が未来のまちづくりには必要。いつか都会の子どもたちが「今日も星空がきれいだね」といえる環境になることを願ってこれからも活動していきたいと思います。
日本人の7割が、普段暮らしている街で天の川を見たことがない、という調査結果も。ここ、東京でも天の川が見える未来、期待したいですね。国際ダークスカイ協会 東京支部、越智信彰さん、お話ありがとうございました!