今朝は、群馬県の前橋市を拠点に活動をおこなう【NPO法人 共に暮らす】の活動に注目します。

団体の代表は、パキスタン出身のアジズ・アフメッドさん9歳の頃に来日して、それ以降は日本で生活を送っています。そしてこの団体は、アジズさんが幼い頃に経験した言葉の壁、さらには体験の格差を解消するために立ち上げた団体です。

大元のスタートの部分っていうのは、言葉のヤングケアラーをなくすっていうことから始まったんですね。例えば税金の書類だったり年金の書類だったりっていうのはすごく難しい。で、病院行ってもなかなか言葉が難しくて通じない。そういった時に、子どもがいるとですね、子どもが通訳として役割を担っちゃうんですね。そうすると、今まで子どもたちは学校では習わないボキャブラリー、例えば病院に行って「こういう病気でこういうお薬が必要ですと親にお伝えください」ってことで言葉の概念が分かんないので伝えるのが難しい。そうすると、「できなかった」「自分はなんでわかんなかったんだろう」とか、心にすごく残ってしまう。で、やっぱり子どもたちの支援をするのには、社会で生きている方々と保護者への支援も必要だ。例えば、税金の書類のマニュアル化の多言語化であったりとか、病院の中でもスタッフさんがどういうふうに(外国ルーツの)患者と会話をすればいいのかっていうマニュアルの作成を我々の方で取り組みとしてはさせていただいているっていうところです。

日本語が話せない両親を支えるために子どもたちが通訳となるケース、 街で見覚えがある方、いらっしゃるかもしれません。そんな「言葉のヤングケアラー」を無くしていくためのマニュアル制作を請け負っている、という「共に暮らす」。

昨年度からは、海外ルーツの子どもたち、その家族とともに3ヶ月にわたり絵本を作成する「kodomo絵本 ~みんなでつくる絵本~」プロジェクトを立ち上げています。

まず、子どもたちが日本語で絵本を作るっていうところが1つのテーマなんですが、やってることがすごく単純なんです。絵本を作るだけなんです。この絵本っていうのは子どもたちが自分でストーリー考えて、自分で絵を書いて、それを製本して、11人がこの絵本をもらえると。なんでこんな絵本を作るだけのことをやっているかっていうと、実は子どもたちに語れる材料っていうのを渡したかった。例えば、私も小学校・中学校の時に、周りの子たちが、「おじいちゃんの家に行った」とか「おばあちゃんの家に行った」とか「親戚の人と遊んだんだ」ということを言うんですが、外国の子どもたちはやっぱりお父さんお母さんと日本に来てることがほとんどですので、自分のそばにいる人がお父さんお母さんしかいないんですね。それはすごく孤独で、やっぱり周りの子どもたちはいろんな外の繋がりも色々あるところ、自分だけのオリジナルの語れるストーリーがない。で、そこで例えば今回の絵本企画には10人の子どもたちと家族が参加しているんですが、その家族同士のやっぱり繋がりだったり、この企画に参加して新しくできた友達だったり、その子たちと23か月かけて1つの絵本を作るっていうステップで、我々大人と子どもたちが接する中で、いろんな新しい発見だったりっていうのを持って帰れる。「自分はこういう絵本を作ったんだ」っていうのが多分10年も経ってもやっぱり残っていると思うんです。その後、絵本が好きになったり、また本を読むきっかけ、勉強してみようかな、なんかいろんなきっかけのスタートみたいな形です。

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このkodomo絵本プロジェクトには教員を目指す大学生のボランティアのみなさんも携わっています。海外にルーツをもつ子どもたちとのふれあいが、今後の教育現場に活かされていきそうです。また、製本に関わる資金はクラウドファンディングで募って、たくさんの支援が届いたといいます。クラウドファンディングページでは 進捗状況が更新されています。そして、第二弾となる企画も現在計画中です

NPO法人 共に暮らす