不要になった建物を処分する際、通常はその建物を破壊、つまりは「取り壊し」ます。そんな中、近年アメリカでは「取り壊し」はせずに建物を「解体」するように義務付けている地域が増えています。建物を丁寧に解体すると粉砕された木材やレンガなどの建材が混ざることなく、それらの建材を再び売却・再利用できます。必要以上の木を切り倒す必要のない環境にやさしい取り組みと言われています。

今朝は、アメリカはオレゴン州ポートランドで解体された木材の加工と販売などを手掛けるGood Woodオーナー、David Greenhillさんに事前に伺った内容をお届けします。

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JK:GOOD WOODを始めたきっかけ、モチベーション、ストーリーはどういったものでしょうか。

DG:古い木材を探していたところ、ラジオで築100年の家があることを知って見に行きました。その家の木材などはまだまだ素材として使えるものばかりで、古材を捨ててしまうのは勿体無いと思いました。ポートランドの条例が変わったのに合わせて、廃材を古材として再利用するのがいいのではと考えました。

JK:ポートランド市の条例が変わったとのことですが、元々は条例あったのですか。

DG:このような条例を発効したのは、市としてはポートランドが初めてです。使えるのに廃材として捨てられていたのはおかしいんじゃないか、ということになりました。価値あるものは資材として利用し、循環型のリサイクルエコノミーを作ることが大事だと思います。解体となると時間はかかりますが、丁寧に解体し素材を活かすことに価値があると思いました。

JK:この条例はアメリカでも珍しいですか。もしかして初めてですか。

DG:全米でポートランドが初めてで、市としてとても積極的に取り組んでいます。壊すのではなく、うまく解体して資材として使うというのはインパクトがあることだと思います。古い素材で何かを再構築したがる人が多いのがポートランドの特徴です。建築業がより環境にやさしい健全なビジネスになるということもポイントです。

JK:そもそも、取り壊しと解体、何がどう違うのですか。

DG:違いはとてもシンプルです。取り壊しは壊して捨てるだけに対して、解体はそのままの形で、場合によっては手作業で一つ一つの素材を抜き出します。だからこそ価値のある取り組みであると思います。解体の場合、大多数のものは資材として再利用できる一方、取り壊しは何も価値が残りません。

JK:どのくらいの解体数、実例がありますか。

DG:2017年に初めて解体、以後175の解体を手がけています。

JK :手作業という話があったが、高コストにならないのですか。

DG:そんなことはありません。解体の仕方を解っているとスピード感を持って行うことができます。5-6日間あれば綺麗に解体できますし、思っているほど高くはないです。循環型エコノミーに投資していると思えば、価値がありますし、じきに値段も下がると思います。

JK:今後の展開は?

DG:ビジョンとしては、この素晴らしい資材をもっと流通させたいです。古いものを新しく変えるビジネスを展開したいと思っています。暖炉を取り囲む石や、古い木材もあり、機能的には新品と全く変わらないものを提供できるので、もっときちんと解体をして使って頂きたいです。木材とはなんなのか。新しく木を切る必要がないので、結果的には森林の保護にもつながるものだと思っています。

因みに解体費用、会社や状況にもよるのですが350~360ドル/坪かかるということです。これを高いと見るか、将来への投資と見るか。これからの展開にも注目したいと思います。

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