102日から次々と発表となった今年のノーベル賞ですが、先月、それに先駆けて発表されたのが、ノーベル賞のパロディと言われる「イグノーベル賞」、「人々を笑わせ、そして考えさせる研究」に贈られるというこの賞ですが、今年は、明治大学 総合数理学部 宮下芳明教授らが受賞されました。

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宮下教授らが発表した2011年の論文「Augmented Gustation using Electricity」微弱な電流を流すストロー、箸、フォークによって食べ物の味を変える、という研究。現在は、この研究から、更に様々な技術が開発されているということなんですが、実際に宮下教授にお話を伺いました。

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この度は、イグノーベル賞の受賞、おめでとうございます!まずは、このイグノーベル賞を受賞された研究「Augmented Gustation using Electricity」について教えてください。

12年前の論文で、食器に電気を流して食べ物の味を変えて食を拡張するという研究。微弱電流で舌を刺激し、また食べ物の中のイオンを変化させて味を濃くしたりすることもできるというもの。陽極刺激(+)を使うと金属味を引き出したり、塩味にしたり、陰極刺激を使うと塩味、酸味を強くしたり、感じなくさせたりもできます。

この技術を使って開発中のエレキソルトとは?

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キリンホールディングスとの共同開発で、電気が流れるお椀やお箸で、減塩食を濃い塩味に感じることができるというもの。

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薄味のものをしっかりした味付けに感じられることで、食事制限を科せられている方も美味しく食事できることに!

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そして、現在、開発されているのが、白ワインを赤ワインの味に変えたりできるという味のプリンター装置ともいうべき研究。過去の美味しかったワインを低コストで増やすこともできたり、食の可能性を広げるという技術です。

ここから更なる研究が進みそうです。宮下教授、ありがとうございました。

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電気味覚技術、そして、現在は、味覚のプリンター装置とも言える 新たな研究をされているということですが、微弱電流で味が変わったり、お安めの肉を最高級和牛の味に変えたり、甲殻アレルギーや大豆アレルギーの人でも、アレルギー物質を取らずにその味だけ体験できることになったり・・・宮下先生の目標は、この世にない味を作ること。将来的には、味覚、風味だけでなく、食感を再現する研究が確立されれば、食の可能性、限りなく広がることになりそうです。