働く現場での人手不足や、課題を解決するためのロボットづくりにフォーカス。今、各業界の人手不足、深刻な問題になっています。そして働く現場には さまざまな課題があります。こういった現場の問題を解決するロボットを製作しているのが、京都に本社がある企業 株式会社テムザックです。
2000年に創業、これまでに医療や福祉、災害現場や農業の分野で、およそ50種類以上のロボットを開発してきました。今回はこのロボット開発について、株式会社テムザック 常務取締役、瀬戸口純一さんにお話を伺いました。
JK:これまでにどんなロボットを作ってこられたのでしょうか?
瀬戸口さん:元々は受付案内や見守りロボットから始まったのですが、最近は社会にしっかり役に立つロボットに絞りこんで製作していまして、例えば医療用のシミュレーターのロボットや、鉄道の線路をメンテナンスするロボット、下水道の管の中に入って点検するロボット、災害時に瓦礫を取り除くロボットや、介護施設向けの乗り物(モビリティ)などを開発しています。
JK:今あげていただいた中で、医療用のシュミレーターロボットはどんなロボットなのでしょうか?
瀬戸口さん:2つありまして、1つは「DENTAROID(デンタロイド)」。リアルな大人の形をしていて、肌触りもロボットとは思えない柔らかい素材になっています。歯科大学の学生が歯を削る練習をするときに、処置の仕方に応じて実際にロボットが苦しんだり顔を背けたりするんですね。それでどういう風に対処すればいいのかを学べるロボットです。もう1つは「Pedia_Roid(ペディアロイド)」。 これもリアルな子供の形をしていて、手足をジタバタしたり、呼吸が変化したりするんですけれども、他にも採血ができるような機能もついたロボットです。今までですと 実際の人の動きに対する対処が学べなくてそういったニーズがあって、こういったものを作っています。
JK:そして介護の現場ですけれども、サービスを施す方とそのサービスを受ける側の皆さん、色々な負担があると思うのですが、「RODEM(ロデム)」は、この負担を軽減できる乗り物なんですか?
瀬戸口さん:そうです、元々は介護施設向けに開発をしました。ベッドから車椅子に乗り込むときに、今までの車椅子ですと介助する人が抱えて移動させないといけないのですが、それを1人で乗り込めるように、乗り物の後ろから滑り込むように乗り込んで、乗り込んだ後 座面が高くなって移動ができる、そういった新しい車椅子を開発しました。
JK: 実際に現場からはどのような声があるのですか?
瀬戸口さん:介護施設の方々からも色々とご意見反応もいただいているんですけれども、一般の方々や、観光客の方々にも実はこの可愛らしいデザイン含めて注目されていて、今街乗りのモビリティとしても新たに注目をいただいています。今、東京駅前の東京ミッドタウン八重洲の1階で、この「RODEM(ロデム)」の貸し出しをやっていまして、日本橋を回遊するガイドツアーもやっていますので是非ご利用いただければと思います。
JK:そして最近作られている農業用ロボット、これは今どこまできているのでしょうか?
瀬戸口さん:まだまだ試行錯誤中ではあるんですけども、徹底的に手間をかけないで米が作れることを目指したロボットですね。今年か来年ぐらいまでにかけてロボットのラインナップを揃えようかなというところですね。
JK:ただこの米作り、いろんなステージがありますよね?
瀬戸口さん:そうですね、例えば種を蒔くのもロボットでやりますし、雑草が生えないように水田の水を濁らせるのもロボットでやっていますし、土を耕すとか、できたお米が動物に食べられないように追い払うロボットも開発しています。
JK:コスト的にはどうなんでしょうか?
瀬戸口さん:ロボットを作って売って大きく儲かるということではないのですが、我々は耕作放棄されてしまう田んぼでも、手間をかけずに、コストもかけずにお米を作って、更にそれで米粉を作って流通させるところまで将来はチャレンジしようと思っています。
JK:これからどんなニーズに応えたいと思っていますか?
瀬戸口さん:かなり幅広いご要望をいただいているんですけれども、やはり社会インフラ関係全般とか、他にも、人が募集しても集まらないような分野ですかね、そこに対してのロボットが圧倒的に足りてなくて、いろんなところに頼んだけれども「難しいです」と言われたものが我々テムザック相談がきて、という形になっていますので、そういうことに答えていきたいと思っていますね。
JK: そしてオーダーメイドを受ける、この「X-ROID」という展開があるんですね。実際どのような例があるのでしょうか?
瀬戸口さん:そうですね、例えば鉄道の線路をメンテナンスするロボットとかは、企業さんから相談を受けて作ったりしています。社会インフラの維持管理作業全般について、オーダーメイドでロボットをたくさん作っています。
JK:確かにインフラの整備は、これこそ、まさにロボットが大活躍できる分野ですよね?
瀬戸口さん:そうですね、まだ世の中に無いロボットをまだまだ作れると思っていますので、それで解決していきたいと思っています。