今年の夏も海外からの旅行客数、急増で、今年の上半期の訪日外国人の数はおよそ1778万人、過去最多となっています。オーバーツーリズムが心配される中、観光税など、さまざまな施策が検討されていますが、今朝は、デンマークのコペンハーゲンがこの夏行った新たな試みにヒントを探してみたいと思います。

環境にもやさしいデンマークのコペンハーゲンで、この夏、トライアルが行われたのが、「Copen Pay」という取り組み。観光客に、環境に配慮した、責任ある旅を促すため、実施されたサービスで、参加登録してプログラム内のエコ活動を行うと、特典が受けられるという仕組み。

今日は、こちらについて、コペンハーゲンの観光局「Wonderful Copenhagen」のRikke Holm Petersenさんにお話を伺いました。

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この夏、8月中旬までトライアルが行われていたという「Copen Pay」。まずは、どんな取り組み?

この夏、コペンハーゲンで実施された試験的なプロジェクトで、観光客と地元の住民たちに持続可能な行動を促すことを目的としています。参加者は、観光名所に行く途中でプラスチックごみを集めたり、ボランティア活動に参加したりするなど、環境に優しいアクションを行うと、無料のベジタリアンミールやカヤックのレンタルなどの特典がもらえるというものです。

では、この取り組みをスタートさせるきっかけは? どんなところからこのアイデアを思い付かれたのでしょうか?また実際に観光がどのように環境に影響を与えるかも伺いました。

私たちが目指しているのは、観光が環境への負担ではなく、ポジティブな変化をもたらす力になること。ツーリストの人たちが、より環境に優しい考え方と行動をとってくれるよう促すことなんです。実際にデータによると、5人中4人はサステナブルな行動を取りたいと考えているものの、実際に行動に移しているのは、1人だけという結果が出ています。つまり、思っていることと、実際の行動には大きなギャップがあるということなんです。だからこそ、その気持ちを実際の行動に移すよう促すことがこの取り組みの目標です。

観光が環境に与える影響としては、いくつかありますが、例えば、目的地への交通手段があります。飛行機で移動したり、電気自動車でない車で移動すれば、環境に負荷をかけることになります。どのように移動するか、何を食べるか、目的地で何をするか、これらすべてが環境に影響を与えるのです。

とのこと。今回は26のプログラムが用意されていたそうですが、参加した人たちの反応はどうだったんでしょう?

反応は、非常に前向きで、観光客や地元の人々の多くがこの取り組みに参加したい、と答えてくれました。実際にいくつかのプログラムでは満員になり、予約待ちがでるほどで、中にはすぐに完全に予約が埋まってしまったものもあったほど。でも、そういったプログラムでも、参加企業が予約待ちリストを作成してくれたりと色々な配慮が行われていました。さらに、プログラムに参加した人たちからは、多くの方が再び参加したいと答えてくれて、家族や友人にも勧めたいと言ってくれました。このプログラムを通じて訪問先の都市に何かを還元できることが素晴らしいと言うお声もいただいています。

経済効果については、試験的なものであり、何をもって評価するのかは、考え方の問題であり、実質的な費用や数字的な評価というより、この街を訪れる人や住民たちの環境に配慮した考え方や行動をインスパイアすることで、数字以上の意味があるんです。さらに、今、こうやって私が日本のラジオに出演しているように、この取り組みが世界的に注目されたという点もあります。

それこそが、まさに私たちが目指していたこと。つまり意識を高めること。旅行者全員に、どのように旅行し、どのように行動すべきかを考えてもらうことが大切なんです。

とのことでした。では、実際にRikkeさんご自身もこのプログラム参加されたんでしょうか?

3つのアトラクションに参加しました。1つは、息子と都市型農場で作業を行うというもの、それから、"エプシロン"と呼ばれる、地元の人々が集まり、大きなホールで朝食を楽しむ、というものです。そこでは、たくさんのコペンペイ参加者と話すことができ、なぜ参加したのか、感想なども伺えました。また運河を航行しながらコペンハーゲンの街を見て回り、同時に運河でゴミを集めるという作業にも参加しました。

お話を伺っていると、もはや、ゴミ拾いなども「作業」ではなく、アクティビティとして、楽しんで行っているんですね!Rikkeさん曰く、ゴミ拾いも「宝探し」のような感覚で、「ゴミ探し」(ゴミ・ハンティング)と呼んで、子どもたちも大好きなカッコイイ体験になっているそう。レストランの中には、ゴミ拾い用の地図を作っているところもあったりするそうです。

旅行者も、住民も、大人から子供まで、皆が環境にやさしい行動を楽しんで行うCopen Pay、素晴らしい取り組みだと思いますが、東京や世界の他の都市で導入する際のアドバイスもいただきました。

東京でやる際にはぜひ参加したい。Copenpay実施については、とにかく入念にプロジェクトを構築しましたが、ポイントは、観光客や地元の人々がシンプルかつ楽しく参加できること。さらに、特別な体験を提供するためには、地元の人々の参加が重要です。住民たちにとっても普段とは違う体験ができることで、観光客だけでなく、地元の人たちも積極的に取り組むようになる。いかに、ユニークなアクティビティを用意できるかが成功の秘訣のなんです。 

今日はこの夏、コペンハーゲンで行われた環境を考える取り組み「Copen Pay」についてご紹介しました。お話しいただいた、コペンハーゲンの観光局「Wonderful Copenhagen」のRikke Holm Petersenさん。

義務ではなく、楽しんで環境に配慮したアクションを行う「Copen Pay」。 ゴミ拾いや農作業などを行うと、 そのリワードとして、食事やエンターテイメントなど、 様々な特典を受けられるというもの。

この成功を受けて、今後、別の時期での実施や 長期間の実施なども考えているようです。観光客が増えても、その一人一人の行いで、環境への影響は変わるもの学ぶべきところ、たくさんあったのではないでしょうか。