突然ですが、皆さんの中に「私なんて・・・」というのが口癖だったり、褒められても素直に喜べまなかったり、反対に「いつか失敗してしまうかもしれない」という不安を抱えていたりという方、いらっしゃいますでしょうか?

実は、これ、「謙遜さん」と呼ばれる方の特徴と言われています。長い間、日本人の美徳として捉えられてきた、「謙虚さ」や「謙遜」という行動ですが、必要以上にへりくだったり、自己評価が低すぎることで、ストレスを感じてしまうという「謙遜さん」

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今日は、「謙遜さんの本」を執筆されている、ベスリクリニック院長、心療内科医の田中遥さんにお話を伺いました。

JK 田中先生、「謙遜さん」とは、どんな方のことを指すのでしょうか?

田中先生:謙遜さんとは、自己評価が低く、自分がやってることが本当は正当ではない、または自分がその立場にふさわしくないと感じる人達を指す言葉で、アメリカでは、インポスター症候群と言われ、結構有名な言葉になってきています。

JK 「インポスター症候群」、「インポスター」とは、なかなか激しい言葉ですよね?「詐欺師」とか「ペテン師」とか・・・なぜこういった言葉が使われているのでしょうか?

田中先生:はい、日本語に訳すと「詐欺師」となってしまい、「詐欺」ではないなぁと思う中で、日本人特有の文化ですとか、謙遜的な文化というか、自己抑制の文化を反映すると、「謙遜さん」という名前の方が合っているのではと思い、この名前をつけました。

JK 「謙遜さん」が生まれた背景とは?またどんな傾向が増えているのでしょうか?

田中先生:もちろん、謙遜さんであることは決してダメなことではないと思うんです。似た言葉に「謙虚」という言葉もあるように、私たち日本人として、褒められた時におごり高ぶるわけじゃなく、「いえいえ、そうじゃないですよ」という風に中和的な立場をとる文化もあるわけなんですが、逆にそれが強くなっていくとどんどん自分を苦しめてしまうこともあるかなあと思います。

JK そして、実は、日本人の4人に1人がこの「謙遜さん」と、田中さんの本にも書かれていましたが、これほど多い理由はどこにあると思われますか?

田中先生:謙遜的な思考がだめというわけではないのですが、日本人には、謙虚さですとか控えめさを大切にする文化があって、自己主張よりも周囲に合わせたりとか自分を目立たせないっていうことを美徳としたりする文化背景もあるのではないかなというふうに思います。

そして、日本特有の文化だけでなく、SNSの影響などで、ひとりひとりが発信できる時代になったこと。それはいいことなのですが、ほかの人と自分を比較する機会も自然と増えてきてしまっているのではないかなというふうに思います。

JK では、「謙遜さん」の対処法としては?

田中先生:謙遜することは悪いことではないですが、悪循環になってしまっている時には、一回立ち止まって、自分の中で悪循環になってないか、普段使っている言葉や癖などで、謙遜的な言葉を自然と使ってないかなと振り返ってみると、ちょっとした気づきになるかなと思います。

ただ、仕事のことを夜も考えてしまうですとか、眠れなくなってしまうなど、体に何かしらのサインが出ているときは、注意が必要。

ちなみに・・・自分が苦しくならないように、謙遜さんから変わりたいと思っている方たちへの対処法の一つが「切り替えフレーズ」。田中先生の本にはこんな言葉が載っています。

謙遜さんフレーズ

「自分だけの力で成し遂げられたわけではないので・・・・」

切り替えフレーズ

「皆さんのおかげでガンバレました」

謙遜さんフレーズ

「みんなの意見と違ったらどうしよう・・・」

切り替えフレーズ

「もしかしたら同じ意見の人もいるかもしれない。もし違っても

言えた私は偉い!」

JK では、いつも周囲の評価が気になる方は、どうしたら良いでしょう?

田中先生:なぜ周囲の評価が気になるのか・・・自分はもっとやりたいと思っている方もいれば、以前に嫌なことがあって、そういう風になりたくないな、とか、それぞれ、評価が気になる背景が違う。なので、まず、なぜ気になるのかを考えてみて、その上で、周囲の評価が気になるけどやってみるのか、それとも別な方法に変えるのか、ステップをとっていただくのが良いかと思います。

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今日は、今、注目が集まる「謙遜さん」について、ベスリクリニック院長、心療内科医の田中遥さんにお話を伺いました。人から褒められても素直に喜べない、「私なんか・・・」が口癖の「謙遜さん」、実は、マーガレット・サッチャー、ミシェル・オバマ、そして、エマ・ワトソンも自分が「インポスター症候群」であることを公表しているんですね。

そんな自分を否定するのではなく、受け入れつつよりラクになる方法が書かれている、田中先生の本、その名も 「謙遜さんの本」は、飛鳥新社から発売中です。