アメリカ大統領選挙投票まで、いよいよカウントダウンに入りました。民主党のカマラ・ハリス候補、そして共和党のドナルド・トランプ候補がほぼ一騎打ちという状況ですが、今回も激戦が予想されています。期日前投票は既に始まっていて、両陣営ともに投票を呼びかけていますが 現地の11月5日火曜日(日本は6日水曜日)が投票日、その後開票作業に入ります。

アメリカは日本と違って、新聞社は大統領選を含め、特定の候補を読者に推薦する立場を明確にする伝統があります。今朝はニューヨーク在住のジャーナリスト、津山恵子さんに現地の状況、そしてメディアの報道などについてお伺いします。

JK : まず今はそちらはハロウィーンということで、今どちらにいらっしゃいますか?

津山:自宅ではなく、街の様子を取材しています。

JK :今回の選挙戦で特に印象的なのは、有力紙のワシントン・ポストが特定の候補者を支持しないという判断を下したことですね。

津山:これに関しては発行人のウィリアム・ルイス氏が1025日に初めて発表。数十年にわたる伝統を破るもので、発表を受け、著名人や元スタッフらを含む読者は反発して、定期購読を解約したことをSNSに投稿。解約者は25万人にのぼるとされています。オーナーであるアマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏は、方針を支持していて "The hard truth: Americans don't trust the news media."というコラムを発表しました。

JK :日本では不偏不党でこそジャーナリズムが成立するという考えから、 選挙前に、特定の候補に肩入れするというのはなかなか考えられません。

津山:今回の選挙は民主主義VS独裁政治、事実VS嘘の対決です。アメリカの特に新聞は市民の代わりの「民主主義の番人」だということで、篤志家や財団から寄付も得ています。今回、誰も推薦しないというのは市民の代わりの番人役を放棄していて、間違っていると思います。権威だけでなく、新聞社というビジネス面での痛手も大きい、と考えます。

JK :Z世代の動向としてはやはりSNSでの発信、バイラル効果が大きいですよね

津山: 特に Tik Tokと注目されているのがインフルエンサーのPodcastがメインですね。そこに両候補が出演しています。大学授業料が高いアメリカでは、わかりやすい政策の一つとして奨学金をどうするか、イスラエルの戦争画終わるのか、という問題が若い世代につきまとうので、トランプ氏もそこに注力しSNSで出演して発信しています。

JK :アメリカでは人種や学歴という属性によって、それぞれ明快な違いがありますがジェンダーによっても政党支持の傾向が際立っているという考えもあるようですね。

津山:27日にNYのマディソンスクエアガーデンでトランプ氏の集会がありましたが、若い男性が多かったこと、LGBTQ、アフリカン・アメリカン、ヒスパニックの人もいてかつての白人の高齢男性だけではなかったのが印象的でした。若い男性の保守化がすすんでいるのを感じました。自分たちの親世代のように家を建て、車を買ってという生活がインフレによってできないと感じ、トランプ氏に託すということなんです。

JK : ただしアメリカ第一主義で関税をかけると、結局はインフレが進むのでは?

津山:そうした客観的な事実でそっちのけで、トランプ氏とその取り巻きによる、自分の都合のよい、耳障りのよい発言や投稿を信じ込んでいる状況になります。

JK : 投票自体にかなり混乱が予想されますね。

津山: それはすでに起こっていて、投票箱が燃やされています、そして投票日に投票所で暴動が起こったというデマを流して、投票をさせないなどということがあるかも知れず、どちらが勝ったとしては、デモ、もしくは暴動まがいのことが起きる可能性は否定できません。

JK :ニューヨーク在住のジャーナリスト津山恵子さんに伺いました。ありがとうございました。