毎月1回、税についての「頼れるパートナー」=税理士さんによる、税のワンポイント解説をお届けしています。今回は、東京税理士会の、徳田直志さんに教えていただきます。

今月のテーマは、「社内持株制度」。

上場企業の社員が自分の会社の株式を、毎月積み立てるなどで保有できる、という「社内持株制度」。会社が補助金を出している場合もある、ということですが、なんらかの事情で資金が必要になって株式を売却した場合、あるいは、転職することで持株会を脱退して株式を売却した場合、税金の申告はどうすればよいのでしょうか。

会社が奨励金などの名目で自社株の購入について補助を出している場合、その時点で給与所得として所得税が課税されています。また、売却時に課税される方法については、一般的な証券会社で買った株の場合と同じです。利益が出ていても損失が出ていても、一般的に「特定口座 源泉徴収あり」を選んでいれば、確定申告の必要はありません。

なお、例えば損失があって翌年以降に繰越したい場合などでは、確定申告をした方がよいというケースもあります。

また「一般口座」や「特定口座 源泉徴収なし」を選択していると、ご自分で確定申告をする必要があります。

在職中に株式を売却する時も、退職などで持株会を脱退して株式を売却する時も、「特定口座 源泉徴収あり」を選んでいれば、特に何もすることはないということですね。

それでは、転職をしてその会社を辞めたけれど引き続きその会社の株を保有する場合には、どんなポイントに気をつければよいのでしょうか。

転職をして会社を辞めた場合、会社の株を、ご自分の証券会社口座に移す必要があるかどうかは、持ち株会の規約によって違います。しかし多くの規約では、退職する時点で持ち株会を脱退すると、その持分相当が、あらかじめ開設した、ご自分の証券会社口座に自動的に振替えられます。

この振替時の株価によって、潜在的に利益や損失が発生している場合が考えられますが、振替は売却ではないので、確定申告をする必要はありません。

会社で管理している口座から証券会社の自分の口座に移すことなる場合でも、その時点では利益や損失を計算する必要はない、ということですね。より詳しくは、税理士さんにご相談ください。