毎月1回、税についての「頼れるパートナー」=税理士さんによる、税のワンポイント解説をお届けしています。

今回は、1年の途中で、ローンを組んでいる自宅を売却した場合、住宅ローン控除はどうなるのか? その取扱いについて、東京税理士会の、長濱 栄子さんに教えていただきます。

住宅ローン控除は、その年の年末に借入金、つまりローンが残っている場合に利用できる制度です。自宅を売却した場合、一般的には、売却代金で、借入金=ローンは返済されます。ですので、当然、住宅ローン控除は受けられなくなります。なお、ローンが完済できなかった場合でも、今までのローン控除は受けられません。

5年以上居住しているなど一定の条件に該当する自宅を売却した時に、ローンが完済できず、売却によって損失が発生してしまった場合には、その損失額を、給与所得と通算、つまり合わせて計算。所得税が還付されます。

逆に、売却によって利益が発生した場合には、3000万円の特別控除の制度などがあり、最高3,000万円までの住宅売却にかかる所得税・住民税は非課税になります。

どういった場合でも、1年の途中で売却すると、その住宅についての住宅ローン控除は受けられなくなる、ということですね。ただ、損失が出た場合には、所得税が還付されるケースがあるようです。逆に、利益が出た場合は、最高3,000万円までの住宅売却にかかる所得税・住民税は非課税になる、ということ。さて、自宅を買い換え、新しい物件を買う場合、新たに住宅ローンを組むケースが多いと思います。この場合、新しい自宅についての住宅ローン控除を受けられる場合と受けられない場合があるのでしょうか?

古い自宅の売却によって損失が出た場合は、先ほどの損失の通算と同時に、新しい住宅ローンについて、住宅ローン控除が受けられます。同じ年の間に売却と購入が重なっても問題ありません。しかし、古い自宅の売却によって利益が発生し、3000万円の特別控除を適用した場合には、買い換えた新しい自宅の住宅ローンについて、3年間は住宅ローン控除を適用することができません。

基本的なことを解説いただきましたが、手続きはケースバイケースですので専門家であるお近くの税理士さんにご相談下さい。今月は、「1年の途中で自宅を売却した場合の住宅ローン控除」がテーマでした。