リスナーのパンクーさんからの質問です。

「先日会社を退職し、天引きされた住民税の金額が、納税証明書に記載されている金額と違うのですが、どうすればよいでしょうか」という内容です。

今回は、東京税理士会の、澤田祐子さんに教えていただきます。給与から天引きされた住民税の金額と、納税証明書に記載されている金額が違っている。これはどんなケースが考えられるのでしょうか?

会社員の場合は、給与から住民税が差し引かれます。会社はその住民税を本人に代わって自治体へ納付します。これを特別徴収と言います。特別徴収の住民税は、前の年の所得を元に、従業員の住所のある自治体が住民税を計算し、毎年春頃に会社に通知をします。会社は、その通知を受けて、その年の6月から翌年5月までの間、給与から住民税の分の金額を差し引きます。一方、住民税の納税証明書には、一年間の住民税の額、つまり1月から12月までの金額が記載されます。このような事情から、給与明細にある住民税の額と、住民税の納税証明書の額では、住民税を計算している時期が違うため、納税証明書と違うと勘違いする場合があると思います。

住民税については、前の年の所得の実績から計算され、その年の6月から翌年5月までの間、その額が天引きされます。一方、住民税の納税証明書の金額は1月から12月までの金額が記載されています。計算の時期が違うので 金額が違うのでは、と間違えやすい、ということですね。ただ、いま説明いただいたケースとは違い、そもそも「退職した会社側の責任で、住民税の支払いについて過不足があった場合」は、どのように対処すべきでしょうか。

もし、会社の責任で過不足があった場合には、従業員は会社に過不足があったことを伝え、会社側で精算してもらう必要があります。給与から天引きされる住民税額が納めるべき金額より少なかったという場合でも、会社員の住民税は、原則として会社を通じて納税することになっていて、個別に納税することはできません。

自治体が住民税の額を会社に通知する際には、従業員用の「特別徴収税額の決定・変更通知書」が会社に届き、従業員に配布されていると思います。この通知書に毎月の納付額が記載されているので、給与明細と合わせて確認してみてください。

会社員の住民税については、退職した場合でも、勤めていた会社を通じての徴収となるので、金額が違っても個人では支払いができない、ということですね。(現在勤めている会社ではなく、すでに退職した会社と交渉しなければならないので、何かと面倒なことがあるかも知れません。)手続きについてはケースバイケースですので、専門家であるお近くの税理士さんにご相談下さい。

今月は、リスナーのパンクーさんの質問、「給与から天引きされた住民税」について解説いただきました。東京税理士会の、澤田祐子さん、ありがとうございました。