This Week's Number is・・・62.3 

62.3%」

この数字は、10月の東京都区部のコメ類の値段が、前の年の同じ時期と比べて、上昇した割合です。

総務省が発表した消費者物価指数で、コメ類は前年同月比で62.3%の上昇となりました。スーパーなどの小売店からお米の在庫が消え、「令和の米騒動」などと言われたこの夏のコメ不足。最近は新米が出回りはじめました。しかし価格はそこから値上がりしたまま高止まりしているのが現状。今のところ、値上がりの影響よりお米が買える、という安心感の方が先行しているのが現状のようですが、値段が安くなるかというと、さまざまな要素で疑問符がつくようです。

この上昇率は比較可能な1971年以降で過去最大の上がり幅でした。大きな理由は生産コストの増加が価格に転嫁されたことです。生産量を減らすことで米価を調整する、今の生産者保護の政策は、需要に対し供給が不足しても手の打ちようがなく、供給量が減れば、そのまま価格に転嫁される仕組みになっています。農林水産省のデータでは、コメ農家のうち、大半を占める個人経営は2005年の140万戸から15年で70万戸弱と半減しています。そして生産者の高齢化が進み、資材や光熱費は上がる一方です。

今年の新米は需要を先食いしているので、来年もコメが不足するという可能性は高く、仮に作付面積を増やすとなると価格は暴落します。利益は少なく、稲作をやめることに拍車がかかります。

国はコメの需要が減ることを前提に、コメの生産計画を進めてきましたが、気候変動などのリスクに対応できなくなっているのが現状です。自給率の低い現状でのリスクに対応した農業政策の見直しは必須です