今回、注目するのは社会貢献ができるグルメアプリ【テーブルクロス】。

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飲食店を予約するときに、このアプリを使って予約すると予約した人数分の給食を、途上国の子どもたちに届けることができます。このアプリ【テーブルクロス】を考えた、城宝薫さんにお話をうかがいました。

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株式会社テーブルクロスの代表取締役、城宝薫さん。会社を立ち上げたのは、大学在籍中のこと。そして、その原点は子どものころの体験でした。

「一番最初のきっかけというと、小学生のときに行ったインドネシアです。そこで私と同い年の友達が食べるために働かないといけないとか、ゴミ山に行って拾って来た物をお金に換えたり、昼間から学校には通わず公園にたまっているという姿を見た時に、自分は幸せだったんだなと思ったんです。だから、将来、自分に何かできることがあるなら、自分ができるかぎりやっていこうと思ったのがきっかけでした。日本に戻ってからは何でもやろうと思っていたので、寄付やボランティアをずっとやっていたんです。そんな中、高校1年生のときにアメリカに短期で行かせてもらって、そのときに教えてもらったことがまさに今につながっているんですが、『社会問題・社会課題というのは、寄付とかボランティアの単発のイベントでは解決できないと思う。課題解決に対しては、継続的な仕組みづくりをしないといけないので、気づいた人のやるべきことは仕組みづくりだ。』と言われて、そのときが自分にとってスイッチが入った瞬間だったな、というのは今でも思います。」

その後、城宝薫さんは立教大学 経済学部に進学します。

「どういう仕組みができるのかというのを海外も飛び回って、ビジネスコンテストに参加したりとか、自分のなかで勉強になりそうなインターンシップに参加したりとか、いろんな経験を積むようにしていたんですが、最終的に今のアイディアに出会ったのは大学時代にやっていたアルバイト先でした。アルバイトとして入った会社が飲食店向けの広告販売をやっていた会社で、毎日、飲食店のオーナーさんに広告のご提案をしていたなかで、飲食店のオーナーさんもまだまだ困っているという現状を知りました。やっぱり月額の費用だったり初期費用が高いのも現状だったので、新しく立ち上がった飲食店さんにはすごくリスクがある、とうのが課題というか、困っていると気づいたという感じです。それで、オーナーさんを幸せにしたいなという気持ちと、同時に子ども達を幸せにできるようになったら、もっといい社会ができるんじゃないかなと思ったところから、今のテーブルクロスのアイディアが生まれてきました。」

大学2年のとき、城宝さんが考えたのはこんなアイディアでした。 

「飲食店さんは新規のお客さんがほしいんです。そんな中、お客さんを動員するというところにコミットすると、飲食店さんにとってもリスクがなく、お客さんが来るのでお店の売り上げにも貢献できる。【予約】に目を付けたのには理由があって、私たちは寄付をする側、社会貢献をする側ですが、日本人はポケットマネーで寄付やボランティアをするという感覚があまりないんです。だから、日本人にあった寄付モデルをつくるのであれば、お金の負担がなくて日常生活のなかでできる寄付モデルをつくりたいと思ったんですよ。そこで目を付けたのが予約。予約をすることで誰かのためになる、という文化をつくれれば、日本でフィットするんじゃないかなと思ったので、予約をすることで貢献ができるチャリティ予約、という考え方をつくり、なおかつ予約した人数分の給食が届く、という仕組みづくりに行き着きました。」

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ビジネスパートナーに出会い、2014年6月、大学3年生で会社を設立。そして、飲食店を予約することで社会貢献につながるアプリ【テーブルクロス】は、開発開始から1年後にリリースされました。しかし、課題は山積みでした。   

「銀座のアップルストアでアプリのリリース発表会をしたんですけど、『みなさんアプリをひらいてください。テーブルクロスというアプリができました!』と言って、みなさんにアプリをひらいてもらうと、全国で飲食店が50店舗しか出てこなくて、正直、使い物にならないサービスが走り始めてしまったというか、全然まだまだ何も始まらないなと思いました。一番最初は、お店に営業しても、どれくらいのお客さんが来るのかとか、ユーザー数や実績を聞かれるんですけど、全部ないんです。登録店舗もなければユーザーもいないし、来月何人入るかもわからないので、ほんとに想いでしかお話できないのが大変でした。」

さらに、ピンチは続きます。

「今は丸4年が経って、5期目が始まっているんですけど、正直、面白いのはこの1年半くらい前からです。それまではほんとにずーっと赤字だし、2年間で1億円以上使っていて、キャッシュショートもして手元にお金がなくて2ヶ月間どうしよう、みたいなこともあって、事実上会社もつぶれていることもありました。だから、3年目くらいまでは大変だなっていう感じでしたね。アプリを開発したところで、飲食店を開拓したところで、私たちは売り上げがあがらないモデルだったんです。飲食店にお客さんを集客して、飲食店を使ってもらってはじめて広告費も発生するし、給食も届くというビジネスモデルで、飲食店さんは掲載費も初期費用も無料で掲載できて、他のグルメサイトと比べると固定費がかからないのがメリットなんです。予約ひとりに対して180円の広告費をいただくんですけど、業界のなかでも最安値の広告、固定費もかからないのでリスクもないよね、というのが特徴で、2年間はまるまる投資していた感じです。」

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難しい状況を救ったのは、最初のヴィジョンでした。

「お金も会社にない、何をしてもユーザーもお店の数も伸びないし、売り上げも伸びないとなったなかで、本当にかなえたいヴィジョンって何だったっけ?ということを考えました。日本の寄付の考え方を変えたいし、利益を出しながら社会貢献ができる組織が日本で必要だということを証明していきたい、ということを見直して。その当時、アルバイトを含めて5人いたんですけど、5人が100歩頑張るんじゃなくて、100人の1歩で文化をつくっていく、というのはどうなんだろう?と話しました。テーブルクロスのファンを集めてファンクラブをつくって、みんなで一緒に予約をすると誰かのためになる、という運動をしよう。そういうことを立ち上げて、社内だけじゃなく大勢でやっていこうとなったところから、どんどん応援者が増えてきて、その考え方だとか、確かに日本で必要だなと思った人が手を挙げてくれるようになったんです。ダウンロード数もその当時3万しかなかったのが1年で40万に増えて、1ヶ月500人くらいしか予約が入らなかったのが、いま年間20万人予約が入るようになっているので、そのときをきっかけにブレイクスルーしたのかなと感じています。」

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【テーブルクロス】は 今、途上国の学校を支援する9つの団体とパートナーシップを組み、子ども達に給食を届けています。年に2回は、現地へのスタディツアーを企画。広告を出した飲食店のみなさんも、このツアーに参加されています。

テーブルクロス

https://tablecross.com