今回はアメリカ、ロサンゼルス在住、女優・コメディアン・プラスサイズモデルの藤井美穂さんに伺ったHIDDEN STORY。
5年ほど前にアメリカに渡り、女優・コメディアン・プラスサイズモデルとして活躍する藤井美穂さん。ご出身は、三重県です。子どものころから、舞台を志していました。
「中学生、高校生くらいのときに三重で児童劇団みたいな、子どもは私しかいなかったんですけど、ローカルな劇団に入って、小学校や中学校を回ってお芝居をしてました。
子どものころから目立つのが好きで、目立つことがやりたい、何でも。だからテレビに出てる子役とかに憧れたり、モーニング娘。になりたいと思ってオーディションを受けたり、子どものころからいろいろやりたがってました。
そのあと、舞台をやりたいなということで、プロになるにはどうしたらいいんだろうと、劇団の先生に勧められたのが桐朋学園芸術短期大学というところだったんです。そこで、毎日毎日、舞台の勉強やらダンスやらをやりまして。」
東京で演劇を学んだ藤井さん。アメリカへ渡ることを決めたのは、どんな理由からだったのでしょか?
「日本でこのまま舞台とか芸能系をやっていくとして、どんな女優になりたいか考えた時に自分でヴィジョンがわかなかったんです。
在学中に演出してもらっていたイタリアで活躍されている先生がいらっしゃって、その先生がいつも「世界に飛び出せよ」って言われてて、まあそれもありかな、人生一回だし、と思ってアメリカに行こうかな、ということになりました。
世界に行けばなにか見つかるんじゃないかなと思って。日本はきれいなモデルあがりの女優さんとかが多いので、どんなにお芝居一生懸命してもテレビとか出れないよね、というのもあって。
じゃあ、コメディ得意だからお笑い芸人なる?といっても、テレビの女芸人さん見ても、これ私がやりたいことかな?と思ったらちょっと違うかなというのもあったりして、自分が受けいれてもらえないんじゃないかなという気持ちもありました。」
21歳のとき、藤井美穂さんはアメリカへ。まずは、ホームステイしながら語学学校に通うことになります。
「リバーサイドっていうロサンゼルスから1時間くらいの砂漠の真ん中。でも、川は干上がっちゃって水がないんですよ。どこがリバーサイドやねん、ていう場所で(笑)。最初ついたときに迷ちゃって、会うはずの人に電話したんだけど英語で話してるから、余計にわからなくて、着いて早々やばいなと思いました。ホームステイ先でも全然しゃべれないから、犬に話しかけてました。女優は話せないと意味がないと分かっていたんで、そのプレッシャーで必死でした。英語ほんと嫌いで英作文Google翻訳で出すくらい嫌いだったんですけど、すごい一生懸命勉強しました。やるしかないんで、もう。」
藤井さんは1年間、語学学校に通ったあと、ロサンゼルスの演劇学校に入ります。そして、さまざまなオーディションを受け、いくつかの仕事を獲得。いま、さらに大きな舞台を目指して挑戦を続けています。アメリカで女優・コメディアン・プラスサイズモデルとして活躍する藤井美穂さん。 プラスサイズモデルの活動について教えていただきました。
「標準体型ではなく、もうちょっと購買層に近い体型をということで始まった、60年代くらいからある動きで、ほんとに最近、ここ5年くらいでだいぶ人気が出ていて、有名な雑誌とか有名なブランドもプラスサイズモデルを取り上げるようになっています。
私が始めたのは1年半くらい前ですかね。自分がプラスサイザーっていうのは自覚していたんですけど、モデルをやるのは考えてなくて、たまたまYouTubeの大きな番組を紹介してもらって、そこに出してもらって、そこからスポンサーについてもらったりとか、いろんなブランドのアンバサダーにしてもらったり、いろいろ頑張ってやってます。
Body Positiveっていう、自分の体をポジティブに見ようという考え方ですね。どうしても女性って世の中からジャッジされる存在、女性じゃなくてもですけど、世の中、体型をジャッジして外見をジャッジして、という現状がありますよね。
どんな体型でも美しいよ、というのを表現するムーヴメントといいますか、どんな体型でも自分は自分らしく、ということで、Self Esteemという自己肯定感を伸ばす活動とリンクして大きくなっているムーヴメントかなと思いますね。」
Body Positive。
藤井さんは、この言葉の持つ意味をさらに強く発信したいと考えています。
「インターネットとかソーシャルメディアをやっていると、『どうしたら自分の外見について言ってくる人を変えられますか?』、と聞かれるんですけど、実際他人を変えるのって難しいことだと思うんですよね。
私も日本にいて外見のことを言われたりして傷ついてすごく悩んでいたときに、やっぱり相手は変えられないんですよね。
そこで、影響力のある人たちが表舞台に立って多様な美を発信することで世の中の普通が変わっていく。典型的な美しい人だけが美しいんじゃないんだと示していけると思うんです。
やっぱり自分自身がつらい想いをしたし、アメリカに来て、Self EsteemだったりBody Positiveだったりプラスサイズモデルが多く活躍しているのを見て、自分自身が勇気づけられて、もうやせようとか誰かみやいに細くて白くないとって思うのをやめたというところがあります。
日本でいまそうやって苦しんでいる人達のために、何か私が声をあげることによって変えられたらいいなと思ってて。」