今週は、東京・銀座にあるシェフのためのコワーキングスペース
『re:Dine GINZA』のHidden Story。
東京・銀座のビルの9階。エレベーターを降りると、そこは一見、普通のレストラン。でも、実は その場所は、シェフのためのコワーキングスペースというコンセプトで運営されている『re:Dine GINZA』。
まずは、シェフのためのコワーキングスペースとは、どんなことを意味しているのか?『re:Dine GINZA』支配人の岩渕章悟さんにうかがいました。
「岩渕さん・・・まず普通の飲食店と違うところは、ひとつのレストランの中に複数のキッチンブースを用意してまして、いろんなブランドのお料理を楽しめるレストランとしてやっているところです。
ここを運営しているfavyという会社が、『飲食店が簡単につぶれない世界をつくる』というヴィジョンで会社を運営しておりますので、そのひとつとしてシェフのコワーキングというところに着目しました。
やはり飲食店をひとつオープンさせるのは非常にハードルが高くお金もかかりますし、借金して開けたところでうまくいくかどうかも難しい、ということで、そのハードルを少しでも低くして、自分の腕試しをしたりとか、自分が独立する前のステップとしてここを使ってもらうイメージでやっておりますね。」
自分でお店を構えたい、と考えているシェフ、料理人のみなさんが、腕試しできる場所。そんなスペースを、食のマーケティングを手がける会社favyが、銀座の一等地に作ったのです。では、料理人のみなさんはどんな風に『re:Dine GINZA』を利用できるのでしょうか?
「岩渕さん・・・腕試ししたい人、ご自身のブランドを広めていきたい人、そういった想いで募集を書けています。まず、書類審査から始まりまして、実際に提供するメニュー・お食事も作っていただき、そこで売り出していきたいコンテンツをプレゼンしていただいて、それをクリアして入居、という流れになります。
入居に際しては初期費用として10万円、あとは週に何日入るかによって月額が変わってくるんですが、週に2度ならば3万円、週に3~5であれば、月5万円、という月額の費用を頂戴しています。実際に自分でお店をあけると1000万円くらいと言われている業界なので、それがたった10数万円でお店が、しかも銀座の一等地で持てるとなるとかなり破格かなと。」
現在、『re:Dine GINZA』を利用されている食のプロにもお話をうかがいました。
まずは、今後、開業を目指す【鯛祥】。
魚の『鯛』に吉祥の祥と書いて【鯛祥】の横山祥太郎さん。以前は お寿司屋さんを志していた横山さん。『re:Dine GINZA』で提供するメニューは、『鯛骨ラーメン』や『鯛骨担々麺』。鯛の骨で、鯛骨です。
「横山さん・・・今回出すラーメンはお魚の真鯛の骨を一杯につきまるまる一尾使ったラーメンになります。ものすごく濃厚なんですけど、お魚の骨の脂しか入っていないですし、人間が本来とるべきオメガ3脂肪酸という脂が含まれていて、スープを最後まで飲み干しても余計体にいいというのがテーマになっています。
担々麺のほうはお魚感は普通の真鯛ラーメンには劣るんですけど、うま味が真鯛でしか出ないうま味なので、担々麺にしたときに味わったことがない担々麺を楽しんでいただけると思います。お出汁を使った料理ってたくさんあると思うんですけど、お出汁のよさを若い子に伝えられるものって何かと考えたときに、お吸い物でもお味噌汁でもなくラーメンなのかなと思っているんです。日本食の文化を後世に引き継ぐというのが僕のテーマでもあるので、お魚のお出汁を使うとこんなに美味しいものができる、というのを広い世代に伝えられるかなと思ってラーメンにしました。」
もう1軒、こちらはすでに学芸大学・目黒にもお店がある『茶割』。多治見智高さんにお話をうかがいました。
「多治見さん・・・100種類のお茶割と100種類の唐揚げを出している『茶割』という酒場をやっています。
もともと2016年に学芸大学駅の近くに開業したブランドで今年3月には、目黒の権之助坂にも2軒目をオープンしました。これからもう少し全国にお店を増やしたいなと思っていまして、favyさんの力もお借りできたらいいなと思っての、これから協業する可能性を模索するための第一歩としての『re:Dine GINZA』への出店という感じです。
ここでは、ある程度のバリエーション、学芸大学、目黒の直営店と近い雰囲気を感じられるもの、かつ、週2日、銀座、ということもあるのでもう少し実験的なこともできたらなと思っています。」
『re:Dine GINZA』に出店中、『鯛祥』の横山祥太郎さん。『茶割』の多治見智高さん。それぞれ、どんな想いを胸に銀座で料理を提供しているのか、教えていただきました。
「横山さん・・・お寿司を勉強していたバックボーンがあるので、銀座に料理を作りにくるというモチベーションが違いますよね。朝起きて、『銀座だ、銀座でラーメンだ』と。テンションあがって料理が作れると思います。どういう形でこのラーメンを出すかというのも、この『re:Dine』で模索したいと思っているので、どういうお店の雰囲気にしたいのか、どういう客層を狙っていくのかもここでしぼれたらなと思っております。銀座の舌のこえたお客さんに僕のラーメンどう届くのか、楽しみです。
多治見さん・・・お茶割という飲み物はもともと大衆酒場には昔からあった飲み物で、僕はそこにポテンシャルを感じていて、ハイボールやレモンサワーがそうだったように、おじさんぽいイメージがあったものをちょっといじることで若い人が飲むようになったので、お茶割でもそれができると思っていて。来年、東京オリンピックもありますし、お茶割が日本を代表するアルコールドリンクみたいな立ち位置にのぼっていけるように頑張っていけたらなと思っています。そして、全国に協力者がほしくて、そういう方と接点を持つための拠点としても銀座というネームバリューは大きいので、ここで、お茶割はすごい!というのを発信していけたらなと思っています。」