今回、注目するのはアメリカへの留学をサポート、特にスポーツに関連した留学をサポートする会社、With You。
「基本的にはアメリカ留学を取り扱っている会社なんですが、なかでもスポーツにまつわる留学のサポートをおこなっています。特に最近メインになってきているのが日本の高校サッカー、Jクラブ、町クラブの選手をアメリカの大学にサッカー推薦で進学をさせるサポートをおこなっています。」
お話をうかがったのは、株式会社With Youの代表・中村亮さん。ご自身もかつてFC東京に所属されていた元Jリーガーです。中村さんは現役を引退したあと、英語を学ぼうとアメリカへ留学。そこで、サッカーという特技があれば英語を話すコミュニティに溶け込みやすいこと。さらに、アメリカの大学サッカーの試合を見て、『ここには日本人選手が活躍できるチャンスがある』と感じました。さらに、、、。
「アメリカの大学サッカーについて調べれば調べるほど、やはりアスリートに対する環境、リスペクトがすごいことに気づきます。スカラーシップ、日本でいうと特待生ということになると思うんですが、授業料や寮費を免除されてアメリカの大学に通う。その予算が、日本の特待生と比べると金額が破格に大きかったんです。なので、そこに気づいて事業として取り組もうということで、一番最初に行ったのが自分の母校の滝川第ニ高校のサッカー部。そこからがWith Youのサッカーサポートの始まりです。」
アメリカへサッカー選手を留学させる。このために重要なのは、現地の大学サッカー関係者とのつながりでした。
「スポーツ留学を始めるにも人脈づくりがスタートですので、全米中を車で駆け抜けるという。ほんとに広いアメリカを横断、縦断しまくりましたね（笑）。今の時代ですからメールひとつ送ればつながることはできますが、やはり一度顔を見たり、直接会いに行って、学校の施設を見学したり、監督さんの人間性を知ったり、サッカーの種類を見たり、という行動を最初の2～3年はずーっと繰り返しながら、プログラムの準備をしていました。これが言葉で伝わらないくらい、めちゃくちゃしんどかったんですけど（笑）。実際行ったところでは、ラスベガスあたりからシカゴまでずーっと渡ったこともあります。斜めに横切った感じなんですけど。送る前に下調べが大事なのでそれも行きますし、送ったあとも選手がちゃんと扱われているか気になりますので、選手を送ったところを点で結んで進んでいく感じですね。」
サッカーに関連した留学をサポートする会社【With You】。どんな選手が実際に留学しているのか、具体的な例を教えていただきました。
「カリフォルニア大学バークレー校に決まった帝京長岡出身の本田翔英選手にしても、帝京長岡の監督さんから『ちょっとおもしろい選手がいるから』と連絡をもらって行きました。彼は帝京長岡でもオール5の成績をキープしていたというくらい文武両道で頑張っていました。彼の場合はふたつの道があって、ひとつは大好きなサッカーでプロを目指したいという方向性と、もうひとつはオール5の成績くらい頑張っていたので医学部のほうを目指したいという方向性がありました。その中で監督がこのプログラムのことを話して興味を持っていただいたと聞いています。そのあとご両親含めて面談して、アメリカのほうにしぼって英語の勉強を開始していくということで、10ヶ月11ヶ月くらいでTOEFL90点をとるという努力を重ねて、サッカーのほうでもヨーロッパのプロチームに練習参加するなどしながら、最終的にバークレー校に決まった、という流れですね。」
年度は2名のサッカー留学からスタートしたプログラムですが今年の3月には、実に92名の選手をサッカーにまつわる留学でアメリカへ送り出しました。『プロとして活躍してほしい』という想いの一方、中村さんは 留学する選手たちにこんなことも話すそうです。
「プロの世界だけにあまりこだわってほしくないんですよ。僕自身がプロになれたはいいんだけど、そのあとの人生に苦労したという過去がありますので。プロになれる、というのは当然素晴らしいことなんだけど、プロになれなかったとしても、なったとしても、やはりその競技人生を終えたあとにしっかりと自分の人生を進めていけるような準備をこの4年間でしてほしい、というのは常々伝えるようにはしていますね。」
中村亮さんに最後にうかがいました。これからの目標、どんなことでしょうか？
「とにかくこれは最初から変わらないことでもあるんですけど、サッカーで活躍する人材、これはプロを目指すところの橋渡しですね。もうひとつは、サッカー以外の面でグローバルで活躍できる人材、この両方を生み出していきたいというのがあります。例えば、おもしろい例として、サッカー推薦でアメリカに渡ったんですが、アメリカで大学生活を送るなかで、宇宙工学にすごく興味を持って、エンブリーリドルという、NASAで働くひとを多く輩出している宇宙工学で有名な大学なんですけど、そこに編入した選手がいたりとか。サッカー以外で本気に向き合うもの、目指すものができた子も出てきていますので、そういった子たちが出てくるようなサポートを今後も追求していきたいです。」