今回は、栃木県宇都宮市でさつまいもを中心に、無農薬・無化成肥料、そして、除草剤を使わずに美味しい野菜を生産する、アベチャンファームの Hidden Story。

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いま、焼き芋や干し芋が人気となっているアベチャン・ファームですが、実は、代表の阿部英人さんは、新規就農して、まだ5年。以前は、花を生産する農業法人で働かれていたそうですが、なぜ、独立して、自分で農業をやってみようと考えたのでしょうか?

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「就農する前は胡蝶蘭の生産販売の方にずっと携わっていたんですが、あるとき体を壊して、『食べてるもので体はできている』って言われたもんで、自分で作ってみようということで。」

体をこわしたことがきっかけで、安心できるものを自分でつくろう、と考えた阿部さん。農業を始めるために、最初にしたのはどんなことだったのでしょうか?

「新規就農の準備は土地を借りることから始めましたね。僕はサラリーマンの息子なので、一つも農地を持ってなかったんですよね。一軒一軒、貸してくれそうなところを回りました。例えば、草ぼうぼうになっているようなところ、道沿いのところを見つけては、法務局に行って地主さんを調べて、菓子折りを持って『土地を貸してくれ』というふうに行くとか。でも、実際そんな怪しい男に貸さないですよね。実際、自分が土地を持ってたら、菓子折り持って土地を貸せなんて、僕がでも『なんだよ、お前誰だよ!』って言いますもんね。最初は本当に一反・300坪っていうのが一つ農家の単位になるんですけども、300坪すら、なかなか最初は借りられなかった状況でしたね。でも、10軒ぐらい回ってるうちに、1人ぐらいは心優しい地主さんがいて、『使いたければ使って』って。」

農業のための土地は確保できました。しかし、、、

「最初、農機具もないんで鍬で耕してたんですよ。元気だったんで、これは鍬でいけるだろう300坪ぐらいと思ってやったら、1日で耕せたのは10坪です。(笑)それなのにまめはできるし、肩も腰もパンパンになって、2・3日寝込みました。こんなことやってたらもう農業なんてやってられねー!と思いました。次に友達がくれたのは、家庭用の10坪ぐらいを家庭菜園でやる人用の耕うん機っていうのがあるんです。それで300坪のところを耕してたら、周りの人から『あんちゃんそんなことやったら日が暮れっちまうベー!*って言って、周りのおじちゃんたちが見るに見かねて、『お前、古いの紹介してやるから』って言って。3万円で昔の手でぐるぐるぐるぐるぐるぐるってまわすディーゼルってわかりますか?農機具屋さんに見てもらったら、『これ40年も前のやつだよ?俺、相当売ったもん』って言われた、手押しのYC 80というのがあったんですけど、その手押しの耕うん機をようやく3万円で買ったら、300坪が、それでも8時間かかって1日で終わりました。」

そして、最初の年、阿部さんは、トウモロコシの栽培にチャレンジしたのですが、

「とうもろこし植えたんですけど、もう散々たる結果に終わって。出荷でできたのは、200本ぐらいだったかな、確か。2,000本ぐらい植えたんですよ。2,000本植えて、200本ぐらいしかいいのできなかったです。(笑)半年かけて、2万円。(笑)」

トウモロコシが大失敗、しかし、あるとき、農業の仲間から『サツマイモを作ってみては?』とすすめられます。サツマイモの栽培は、トライした最初の年から成功。

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アベチャンファームは、徐々に 軌道に乗り始めました。栃木県宇都宮市で、有機農法で野菜を生産する、アベチャンファーム。現在、サツマイモが大人気。加工品の干し芋や焼き芋も評判になっています。

「やっぱりイモ自体が美味しくないと、どうしてもエグ味が最後の工程で出てしまうので、イモも何も足さない、ただ自然が作ってくれるイモっていうことが基本になってます。味はすっきりと甘いんですよ。こってりした甘さっていうのはそんなにないんですけども、すっきりとした甘さがずっと続くと量を食べられるし、だいたいイモって胸焼けするよね、と言われるんですが、化成肥料とかそういういろんなものを使ってないんで、ほとんど胸焼けはしないんですよ。そういうところもこだわりの一つかなと思ってます。」

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新規就農して5年、最初は広さ1反から始まった畑も、現在はその70倍の面積に広がりました。そんな状況のなか、阿部さんはこんなことを考えています。

「この後やっていきたいなということは、やっぱり周りにも農業をやりたい若い人がいるんだけども、この間、話を聞いた人だと、夏にナスを作ったそうですが、1キロ300円ぐらいにしかならないんですって。そういう人たちにも夢じゃないけど、こういうふうにして売ってこうよって提案したいです。仲間を作りながら、無農薬とか有機の方で特化した直売所を作りながら、それを食べさせる飲食店なんかもやってみたいです。ちょっとずつ仲間が増えていけば、また出口が見つかってくると思うし、単価の方も自分らで『本当はこれぐらいほしいんです』っていうのも言えるような状況になってくるのかなっていう。そういったところを広げていきたいなと思って。あと、今サラリーマンとか、今ちょっと何もしてないんだけど農業やってみたい、でもどうしたらいいんだっていう人が結構たくさんいると思うんですよ。最初から土地を見つけるのも僕らも苦労したので、そういった苦労なく、最初ちょっと入ってもらいながら技術を学んだら、2年ぐらいでこの土地貸すから、一応やってみなとか、機械はこういうのがあるからやってみなとか、そういうのをどんどん進めていければ、農業の裾野が広がっていくんじゃないかなと。」

最後に、阿部英人さんからお聴きのみなさんへメッセージをいただきました。

「農業やってみたいけど困ってるとか、農業で困ってることがあったら気軽に相談していただければなと思っております。『あしたの種をまこう』というのが、僕らの合言葉なので、頑張ります。」

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