きょうは、Aimerのミニアルバム『Deep down』のHidden Story。
まずは、今回の作品にも THE FIRST TAKEのヴァージョンが収録されている大ヒット曲、ビルボードジャパン、総合ソングチャート年間ナンバーワン! 『残響散歌』。
この大ヒットを受け、どんなミニアルバムを作ろうと考えたのでしょうか?
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「本当にこの曲が、想像していた以上にいろんな方に聞いていただけて。デビュー以来ですね、こんなに今まで出会ったことのなかった方にこの曲を通して出会えた。その存在が自分の中でやっぱり大きくて。今まではAimerの、私の世界観の中でそこから動かずに、というか、その世界観を大切にしながら楽曲を作っていたんですけど、今、新しく出会ってくださった方がこんなにもいるんだな、という、自分の中である種の衝撃を受けて、じゃあ今までの私にはなかったような、そういう新しく出会ってくださったような方からの視点から曲を作ってみたらどういう楽曲が生まれるんだろうなっていうのを、そういうのを考えながらこのアルバムの曲たちはそれぞれ作っていきました。」
これまでは、自分の世界観を大切にしながら 音楽を作ってきた。でも、そこから扉をあけて、一歩踏み出そうと思った。その扉の先にあったのは、テレビアニメ『チェンソーマン』でした。
毎回、異なるアーティストが担当するエンディングテーマ、Aimerさんには、どんなオファーがあったのでしょうか?
「私が担当する回について、お話が一気にシリアスな深みに落ちていく、そういう回、ということだったんですね。だからどちらかといえば、チェンソーマンという作品全体、あるいは主人公というよりも、私が担当する回の、そのために落ちていく、そこに似合うような曲を作ってもらいたい、というふうにオファーをいただきました。」
Aimerさんがエンディングテーマを担当したのは、『チェンソーマン』の 第9話でした。
「物語がどんどん落ちていく、ぬかるみにはまっていくようなそういうタイミングなので。今までも本当にいろんな曲をこの10年で作ってきて、闇に向かう曲、闇の中にいる曲というのは今までも作ってきてはいたんですけど、この作品、チェンソーマンという作品、そしてその自分の担当する回のストーリーに似合うような、もっと今まで描いたことなかったような、もっと深い闇の底の底の底みたいな部分を曲にしてみたらどうなるんだろう、と思いながら作りました。そのメインキャラクターが今まで出したことがない、ちょっと神聖で恐ろしい目を出してくるとか、あとはそれこそ命を落としたり、というのもあるので、彼女たちに、どちらかというと寄り添うような曲。ある意味、この曲は、レクイエムでもありますね。」
深い闇の、底の底の底。これを表現するために大きなカギとなったのは、玉井健二さんと百田留衣さんによるアレンジでした。
「タイトルにつけたような、深い闇の底に落ちていく曲。で、やりたいことっていうのが、リズムがあまりない部分を入れたら面白いなっていうのがありました。なので、この曲を聞いていただくとわかるように、最初の部分はリズムがどんとなくて、低いチェロだけが鳴っている。そういう静寂の部分と、それでいて、テンポは変わらないけど、激しいリズムが突き上げてくる部分。その激情みたいなものをうまく共存させて、かつそのたくさんの人に聞いてもらう曲にしたいなと思ったので、アレンジがかなり肝になる曲だったんです。ところどころで鳴っている、まるでビヨークの曲に出てくるような『チャララン』っていうような部分が上手く効いていたり、あるいはそのリズムパターンだったりをポップスとしてちゃんと仕上げながら、だけど、今までの曲よりも、より混沌としていたり神聖としてたり、いろんな情景が浮かび上がってくるようなアレンジに出来上がったと思います。」
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『チェンソーマン』、『鬼滅の刃』も含め、物語の主題歌を作るときの難しさ、それはどんなところにあるのでしょうか?
「その作品、あるいはその作品のこういう部分に似合う曲を作るときに、やっぱり自分と全くかけ離れたものは作れないので、いかにその共通項があるか、どこに私はシンパシーを感じるんだろう?だったり、どこに共鳴するんだろう?というところを考えるのがポイントになってくるんです。それは毎回、楽しくもありますけれども、苦しくもある作業。『残響散歌』について言えば、もちろん炭治郎もそうだし、特殊かもしれないですけど、残響の場合は、例えば、敵の鬼側の気持ちをくんでというか、裏でくんで、どんな立場に立っても、共感できるような心情が書かれているような曲であったらいいなって、あのときは考えていた気がします。」
Aimerさんにとって、2022年はデビュー10周年イヤー。作品としては、『残響散歌』の大ヒットで幕をあけ、これまでより さらに一歩踏み込んだ表現に挑戦したミニアルバム『Deep down』で締めくくる、、、そんな一年。
一年の終わり、AimerさんにこんなことをたずねましたAimerさんはどんな想いを胸に、歌っているのでしょうか?
「本当にいろんな思いがそこにあるんですよ。どんなところでどんなときに誰に向かって歌うかによっても、少しずつその自分の気持ちが左右されることもあるんですけど。その中で根本に変わらないところがあるとしたら、歌うことで、すごく大それた話になりますけど、祈っている感じがします。うまく言葉にできないけど、それはそのときに来てくださっている皆さんに何か届けたいっていう祈りかも知れないし、自分自身をここじゃないところにすくい上げたいという祈りかもしれないし、その時々で感じることは違うんですけど。でも本当に祈りに近いなってすごく思ったタイミングがあって。そこから私は歌うことで、祈ってるんだろうなって思いました。」