今回はふとんなど寝具が大量に廃棄されている現状をなんとか変えたい、と事業に取り組む会社、yuniのHidden Storyです。

取材におこたえいただいたのは、株式会社yuniの代表取締役、内橋 堅志さん。まずは、内橋さんに寝具はどのくらいリサイクルされているのか、教えていただきました。

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「今、寝具は僕らが引っ越すときに廃棄業者さんが持っていくとか、粗大ごみとして自治体に廃棄をするというのがあると思いますが、ほぼ100%それで捨てられているんですね。打ち直しというのもありますが、それも最終的にはそういうところで捨てられてしまいます。その自治体の処分場にいく寝具でどれだけが再生事業者の手に渡っているのかというと、羽毛布団は素材の価値が高いので、羽毛布団だけはごく一部が再生されていて、それが2%という数字なんですが、それ以外はほぼ全部燃やされているんです。」

寝具のうち、リサイクルされているのは、わずか、2%。再生されているのは、羽毛布団のごく一部だけ、というデータがあるそうです。そんな状況を変えようと立ち上がったのが、内橋さんです。

「僕はもともと実家が寝具メーカーで、高校生の頃からそこで働いていたんですけど、働く中で寝具の廃棄の課題ってすごいんだなとそこで気づいたんですね。ほとんどの寝具が焼却処分されている。一方、寝具って中身はそこまできたなくないんです。素材としてはまだまだ使えると高校生の頃から思っていました。そのあと、僕はエンジニアとして就職して、また起業も経験しました。そのときに僕にしかできない事業って何かなと考えて、やっぱり僕の特殊な経歴、高校生のときから寝具メーカーで働いていて、一方で僕はエンジニアですと。それをいかして、寝具の廃棄課題を解決するサービスを出せないかなということで。」

内橋さん、実家が寝具メーカーということもあって、『自分にしかできない仕事は何なのか?』と考え、その結果、yuniという会社が設立されました。では、yuniでは、どのように事業をおこなおうと考えたのでしょうか?

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「まずは当然、再生する寝具を集めなければいけません。次のステップでそれを再生する。さらに、社会で再生した素材を使ってもらわなければならない。まず集めるところに関しては、一番、寝具のゴミが集まっているのは自治体なんですよね。自治体に話に行って、『寝具の回収、困っていませんか?』と。すると、困っているし費用もかかっているということで、『では、我々が引き取って、焼却処分にかかっている費用より安く再生します』と。再生に関しては、実家が寝具をやっていたので、高校生のときに、寝具の再生に取り組んでいました。それを元にオリジナルで機械を作って、これまでは寝具の中材、ポリエステルとウレタンが混ざっていたりすると再生しにくかったんですが、それも再生できるようにしようと。集めたもののうち、再生できるものの割合を高める。それによって我々もちゃんとビジネスができるようになると。」

現在は、兵庫県に再生工場を持ち、寝具の素材のリサイクルを進めるyuni。回収された寝具はクッションに再生されるほか、糸や布として リサイクルされています。yuniが一ヶ月に回収する寝具は、およそ1万8000枚。

「捨てる側、我々として見えにくい部分があると思います。最終的に焼却されていることはあんまりわからないというか、どこかで誰かが再生しているのでは?とふわっと思っている方もいらっしゃると思います。でも、実はほとんど燃やされている。そこで、実際に燃やしている自治体の方などがなんとかしないといけないと思ってらっしゃったり、寝具メーカー側が『これで本当にいいのかな?でもどうしようもないよね』と思っていたり。なので、課題はずっとあって、それをビジネスモデルにする。当然、工場も作らないといけないし、これまではそこが難しかったのかなと思います。」

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内橋 堅志さんに 最後にうかがいました。株式会社yuniの 今後のヴィジョン。どんなことを考えているのでしょうか?

「日本って、焼却処分が多い国なんですよね。これは悪いことだとは思っていなくて、国土の面積が狭いので、燃やして容積を小さくして埋めようということだと思います。でも、焼却処分場が減っています。焼却処分場は耐用年数が長くないし、また、運用費用もかかるのでどんどん減らされています。この10年で1000箇所くらい減っています。じゃあ、次の10年とかどのくらい焼却処分場が減って、そのときにゴミはどうする?という課題があります。僕らは焼却処分場を可能なかぎり、再生工場に変えていくのが大事だと思っています。焼却するゴミが日本はめちゃくちゃ多いですが、それを素材として再生できれば完全な資源大国になれるんです。そんな中で、我々は、日本がうまく再生工場に転換できるようなお手伝いをしたいと思っていますし、それによって日本を廃棄大国から資源大国に変えると。これを我は目標としています。」

株式会社yuniウェブサイト