今回 注目したのは、山に関する仕事なら何でも引き受ける、という会社『山屋』。
「株式会社山屋は、山仕事のプロフェッショナルの方々とともに、山における調査・作業・運搬と、クリエイティブな事業を行う会社です。」
お話をうかがったのは、『山屋』の代表・秋本真宏さん。ご出身は、静岡県の沼津市です。山との出会いは、地元の工業高等専門学校に 通っていたときのこと。
「その頃は工業高専の物質工学科というところにおりまして、毎日白衣を着て化学実験をするような生活をしてたんですよね。 そんな時に友人のお父様が、"秋本くん、一緒に山に登らないか?"と登山に誘ってくれて。それで、初めて登ったのが長野県の中央アルプス。2500メーター以上の山で、もうそこが初めての登山に近いところで、大自然の魅力にとりつかれてしまって。そこから一気に、もっと山の近くで暮らしたいと思って 方向性を変えて生活し始めましたね。」
秋本さんは山のことを学ぶため、信州大学に編入。そして、大学卒業後は木材の会社に入ります。しかし、もっと山に没入できる仕事をしたい!ということでその会社は辞め、新たな仕事を探すことに
「それまで林業や木材の分野では働いてもいましたし、学校でも習っていたので少しイメージはついてたんですが、 登山そのもの、山の上、山の中で働くお仕事があまりイメージがつかなくて。 最初にやったのは、日本アルプスを南から北、北から南に、端から端まで歩き通して、その中で働いてる方全員にお声がけして、どのようなお仕事をされてるのかと、どうしたらそのお仕事ができるのか、あと業務内容の詳細なども聞いて。まあ、ヒアリングですよね。特にアルプスは、夏の間・一夏中その山を歩いていて、 ひたすら会った人にお話を聞くということをやってましたね。」
では、その結果、山の中ではどんな仕事があるとわかったのでしょうか?
「もちろん環境省の国立公園を保護されているレンジャーの方ですとか山岳ガイドの方など。言われてみればそういうお仕事ありますし、もちろん知ってもいたけど、街で暮らしていて実際に会うことはなかなかないじゃないですか。そういう方にもお会いできました。 そこで本当に驚いたのが、例えば水力発電・風力発電、生活に関わる面ですと水道・水源・水に関わる分野でも、調査だったり、その機械、観測機械のメンテナンスに入ってる方もいらっしゃって。他はもっと根本的な動植物の調査ですよね、高山植物と野生動物、鹿とかクマとかを調査している方がいらっしゃったり。 長い期間歩いてたので、本当に様々な職業の人に会えました。
秋本さんは、そうしたみなさんにお話を聞いたり、山に関する仕事なら何でも引き受けるときに、一緒に働かせてもらったりしたそうです。
「アルプスを端から端に歩いている時、逆に声をかけてくださった方だったり入山した頃にお話を伺っていて。結果、山の中ずっと歩いてるんで再会して深くお話ができたりする中で、長野県の山岳パトロールをされている方が北アルプスの中に何チームかいらっしゃって、都度僕がしつこくお話を聞いてたら、"噂は聞いてるぞ"ということで、"そんなに歩くのが好きで、どうやら人の話を聞いたり人に声をかけてお話を聞くのも嫌いではなさそうだ"ということをおっしゃってくれて、長野県の警察の担当者様を紹介してくださったんですよね。 私は北アルプスを端から端まで歩いて、最後は日本海でちょっとひと泳ぎしてたんですけれど、その後にそのまま長野県に引き返して、早速その長野県の大町警察署の門をたたいて、"山の中でパトロール隊員の方々に出会って紹介いただいたので、自分もパトロール隊員にしていただけませんか"という無茶なお願いしまして。次の夏に、その長野県の夏山のパトロール隊をさせていただくことになったのが、具体的に決まった最初の仕事ですね。」
夏の間は、山のパトロール。また、夏以外の期間にも山の仕事が舞い込むようになりました。そんな中、いよいよ『山屋』の構想が浮かびます。
「その生活繰り返していて、山に登って働ける人がたくさんいるエリアには割とお仕事をやる人も決まっているんですが、関西や九州や長野などよりは登山人口が少ないエリアで本当に山に登って働く人がいないというお話を実際困っている方たちから聞きまして。担い手がいない山仕事を外から出張で行ってでもお引き受けすることができれば、困っている人の助けにもなるんじゃないかなという思いもありましたし、私も含め、その頃にはもう仕事仲間がたくさんいたので、これはもうチームで何か別の働き方をしたい、しなければこの状況は変わっていかないのではないかという気持ちになっていきましたね。そこで、たどり着いたのが株式会社を立ち上げるという方法で、もう名前はシンプルにそのまま株式会社 山屋。これで行こうという気持ちで旗をあげました。」
2021年、株式会社『山屋』設立。全国の仲間とともに請け負う、山の仕事が始まりました。