今回は、Official髭男dism およそ3年ぶりのアルバムRejoice』のHidden Story藤原聡さんにお話をうかがいました。

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ポジティブ、そして、音のカラーとして明るいアルバムに、という方向性のもと 制作に臨んだ『Rejoice』。1曲目は【Finder】というナンバーです。実はこの曲の、冒頭のピアノ...

「前回のアルバムのEditorialの1番最後の楽曲がLost In My Room】という楽曲なんですけれども、そちらの最後のピアノのフレーズからアルバム1曲目のFinder】は始まっています。なので、アルバムとアルバムがこう繋がっているようなイメージに仕上げたいなということがあって、こちらのアレンジになりました。」

3年前から、次のアルバムの始まり方についての構想があった!ということですね。前のアルバム『Editorial』のラストトラック【Lost In My Room】こんな曲でした。

「自分の部屋で自分が分からなくなるっていうか。どういう未来があるのか分からない、自分がどうするべきか分からないっていうような。そういったある種すごく内面的な、ポジティブでは決してないようなもの、なんかその積み重なった先に救いが待ってるっていうような、そういうイメージでしたね。」

Lost In My Room】の終わりの部分、ピアノがフェイドアウトしています。そして今回のオープニングトラック【Finder】へ。続いて、2曲目。曲のタイトルは、【Get Back To 人生】

「僕にとってはやっぱりライブやるっていうのはすごく大事なことで。ライブなしの音楽人生っていうのはすごく、なんだろうな、楽しみというか醍醐味がない人生になってしまうなっていうのは感じていました。それで、声出し解禁というか、お客さんとばーって一緒に歌ったり騒いだりするライブって実は4年ぐらいもうやってなくて。なので、ようやくその理想の人生ってものに戻れるなっていうことで、人の道に戻るっていうか、若干ロボットっぽかったなみたいなとこから、やっぱり生きがいを取り返すっていう感じのイメージがすごく大事でこのリリックを書いてたっていうような感じですかね。あと編曲もやっぱり、だんだんその打ち込みからヒューマングループにっていう、そういう移行を大事にした楽曲でもあります。ちょっと分かりづらいかもしれないんですけど、打ち込みのシンセサイザーとかからどんどんどんどん生に。ドラムが1番如実ですかね。ドラムは最初リズムマシン、ちゃんまつが叩いてくれてるんだけど、リズムマシーンの音を使ってて。そこから生のドラムにどんどんこう変わっていって。ベースもシンセベースが重なってたやつが、どんどんパワフルなベースだけのサウンドになってって。ギターもカッティング、機械的なカッティングから歪みになっていくっていうような感じで、人間味を取り戻すっていうようなイメージがこのアレンジに込められてるんじゃないかなと思ってます。」

そして このGet Back To 人生】は、こんな歌詞があります。《とりあえずちょっとだけ大顰蹙を買ってしまいそうな 100デシベルの心の声を鳴らす》。そして、《全俺が君と踊りたがる》。

「間違ってるんですよね、文法的には。"ちょっとだけ大顰蹙"ってどういうこと?とか、"全俺が"みたいな言い方って、あんまり歌詞だとしないような気がするんですけど。なんかもうその歌詞というフォーマットすらもう無視してしまいたいぐらい嬉しいっていうか、そういうので出てきたんで、これはご縁だなと思ってそのまま使いましたね。」

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まさに喜びいっぱいの2曲でスタートするアルバムは、このあと【ミックスナッツ】、さらに【SOULSOUP】と、どんどん加速していきます!SOULSOUP】は冒頭から分厚いホーンセクションを交えた大編成のアレンジとなっています。

「結構、打ち込みとかソフトで作ったものも、生で演奏したものも、その曲に1番合うベストなものを録音して作っていこうっていうのがバンドの根っこの部分の方針なんですけれども、この【SOULSOUP】っていう楽曲は、もうとにかく人の作り出すリズムとか、その音の強弱、特に強い部分が本当に大事っていうか。1個1個その生の音が足されていくにつれて、だんだん未来の扉を開ける力が強くなってくっていうか。僕、すごい大好きな漫画で、すごい重たい扉を、その体を鍛えて開けれるようになってガーンって開けるっていうか、そういうシーンがある漫画があるんですけど、なんかそんな感じっていうか。そういう、すごい、グッドミュージックの扉みたいな、分厚いやつ...未来の扉のみたいのがあって。それをなんかどんどんミュージシャンが1人1人こう参加して、力をこう貸してくれて、分厚い扉を一緒にみんなでせーのでグーンって開けてるような感じっていうか。そういう何かを打ち破ったり何かを前に進めるっていうような説得力っていうのが、やっぱり生楽器の音にはすごく込められてるんじゃないかなと思っていて。なので、この大編成のアレンジになったことでそういう力を感じましたね。みんなでガーって進む感じっていうか。」

そしてもう1曲、美しいメロディのナンバー。〔ただいま、おかえり〕というシーンが心に残る【Sharon】について。

「すっごい幸せな職業に今僕つかせてもらってると思ってるんですよ。音楽を作って歌うっていうことにみんなが価値をくれて、みんなが応援してくれてることによって僕たちは音楽だけをやって生きていけるということを、あるし許してもらえてるという現状があるんですけど、やっぱり音楽が忙しくなればなるほど、その家に帰れないっていうのが多くて。帰っても、ほんとに寝に帰るだけで、起きたらもう次すぐスタジオ行くみたいな感じで。それで、妻と結婚して、今何年になるかな?2019年なんで、5年なんですけど、本当にありがたいことに充実した日々を送らせてもらってる反面、あんまり家にいられなかったり、一緒の時間を過ごせないっていうことがすごく多く。なんかどっちもスーパーマンみたいに上手くやりたいんですよ。妻との時間も人間として人生としてほんとに幸せだから大事にしたいけど、音楽も音楽でその時間を割かないとやっぱ僕は良いものをちょっと作れないので、どっちもなんかおろそかにしたくないんですけど、 結果的にやっぱりそのアルバムを作るときとかにおろそかになってしまったり、僕のその心の余裕がなくて、すごく負担だったり迷惑をかけてしまってるっていうのは実際にすごくあるんですよ。本当にそれが、なんか申し訳ないっていうか、なんて自分は不器用な人間なんだろうなっていうところから始まってるんですけど。でも、その不器用な自分を理解して、ある種許して、応援してくれてるっていうその存在って、もうほんとに、なんて感謝していいかわかんないっていうか。なんかね、それが歌詞にすごくにじみ出てきたっていうか。」

Official髭男dism

最後のコメント、言葉のはしばしから 奥様を想う気持ち、伝わってきました。  この「Sharon」という曲についてのコメント、実は 続きがあるんです。 これは来週の放送の中でご紹介させていただきます。ぜひお聴きください。

来週のこの時間に、まだまだお送りしますので、ぜひアルバムを聴き込んでお待ちいただければと思います。