今回は、東急世田谷線 松陰神社前駅からすぐのところにあるお店、『炭火焼き魚弁当 すみさわ』のHidden Story。
2020年11月にオープンした『炭火焼き魚弁当 すみさわ』。店主は、澤田幸洋さんです。澤田さんが料理の道へ進んだのは20歳の頃。最初は、寿司居酒屋で勤務されました。

「寿司居酒屋だったんですけど、そこで就職をしまして。それで働いているうちに楽しくなってきまして、料理って面白いなと感じました。そんなに食べることを意識したことはなく、どちらかというと作る方が好きかもしれないですね。それで、最初は寿司居酒屋だったんですけど、もっと知りたい、もっとできるようになりたいなと思うようになりまして。24歳ぐらいから本格的に料理の道に進みたいと思って、麻布十番に【たき下】というお店があるんですけど、定食がちょっと有名な割烹店で、そこに24歳から勤めて板前の世界に足を踏み入れました。和食の基礎と、あと炭火焼きのお店だったりしたので、そこで炭火を習得しまして、その後は恵比寿の【賛否両論】に就職しました。」
恵比寿の名店【賛否両論】でおよそ7年。その後、澤田さんは自分のお店を持つことを決意します。
「もう最初からお弁当屋を考えてまして、それこそコロナ禍の前からお弁当屋でやろうと思っておりました。まずはスモールスタートということで、小さい店舗からやってこうと思ってたんですね。小さい店舗で私1人でやれば、大変かもしれないけれどリスクは低いんじゃないのかというところからスタートしたんです。今まで学んできた料理のことをいろいろ詰め込んだお弁当にしようと思ってたんですけども、先ほどの【たき下】で学んだ炭火焼きの魚とご飯ですね。ご飯はそこのご飯が美味しかったので、そのご飯・お米を使いたいなっていうのは当初から思っておりまして。それと【賛否両論】の方で学ばせていただいたアイデアとか、面白いことですよね。彩りですとか、そういったことを組み合わせたお弁当を作りたいなと思っておりました。」
炭火焼きの魚。そして、おいしいご飯。これを軸にお弁当を作ろう。そして、使う魚はお弁当ならではのチョイスとなりました。
「お弁当ですので、時間が経ってからでも美味しいものというと結構限られます。白身魚ですと後から固くなってしまうような魚もありまして、淡白な魚とかは焼きたてだと美味しく食べられるんですけど冷めるとカチコチになってるとか、そういったことがあるんですね。そこがなかなか難しくて。ある程度しっとりと、身離れというか、骨からバラバラっとほぐれる。そういった魚っていうのはなかなか難しいところで、その辺でお魚を選んでおります。ずっと定番で、さば、しゃけ、めだいは定番商品と通年販売しているものです。やっぱりお弁当といえば、もうそれだろうっていうのがありまして。それで、近所にテイクアウトのお寿司屋さんがあったんですけれども、そこのメニューって本当に変わらなくて。ずっと変わらないのにずっと人気のお店がありまして。そこからちょっとヒントをいただいて。ベースとなるところはそんなに変わらなくていいんだな、という風に思いまして、その定番商品は通年販売しております。」
炭火焼きの魚のお弁当に加えて、2022年からは、メニューに"のり弁"が登場します。
「海苔弁と言えば、海苔の上にちくわの磯辺揚げですとか、卵焼きとかしゃけが乗って、というのが定番で王道だと思うんですが、それを何か越えられないか。どうせ作るんだったらうちならではのものを作りたいというところで、なかなかできずにいたんですけど。で、思い立ったのが、「賛否両論」では、いぶりがっことマスカルポーネチーズを使う一品がずっと定番でございまして、人気の商品なんですけども。そこからヒントを得まして。私にとって「いぶりがっこ」ってすごく馴染みのある食材ですので。で、ご飯と焼き魚といぶりがっこ、それをのり弁にしたら美味しいんじゃないのか、というところで、ようやく完成したなっていう。」
そして 大きなポイントとして、お弁当なのに、ご飯がホクホクなんです。
「ミルキークイーンというお米を使用してるんですけども、低アミロース米というモチモチしたお米で冷めても固くなりにくいという特徴があるんですね。それがお弁当に大変向いてるお米でして。さらに、ご飯もすごく小さい鍋で何回も炊くんですね。1度に大量に炊くと、1番最初によそったご飯と1番最後の底にあったご飯とでは全く別のものになってしまうので、何回も炊くんです。20回ぐらい炊くんですよね。なるべく炊きたてのご飯を常にお弁当にお包みする。できたてのご飯を詰めて、それが冷めてもやっぱり美味しいんですよね。保温された、ちょっと固くなってしまったご飯っていうのは冷めるとより固くなって難しいんですけど、やっぱりできたてというのは非常に大事な要素ですね。多い時は10キロから20キロぐらいご飯炊いてるんですけど、もうずっとご飯炊きっぱなしです(笑)」
さらに、のり弁に入っている魚のほぐし身も 炭火で焼いた魚のほぐし身なんですが、炭火で焼くことの利点は どんなところにあるのでしょうか?
「色んな効果があるんですけど、まず熱が直で素材に当たるっていうとこですね。鉄板とか何も通さずに熱が直に素材に当たるってことで、芯まで温まる。それで、いぶされて、炭の香りがつきますね。ですので、皮はパリッとだけど中はジューシーに焼けるというのが大きな違いになるんじゃないですかね。」
『炭火焼き魚弁当 すみさわ』の澤田幸洋さんに最後にうかがいました。お弁当作りで最も大事にしているのはどんなことなのでしょうか?
「お弁当もレストランに近いんじゃないのか、とはちょっと思ってるんです。少しお店からはみ出すような、そういうイメージで。なるべくできたてのお弁当を、お店の席までじゃなくてご自宅まで、というイメージで。なるべくできたてをお弁当に詰めて、ほかほかのおうちに召し上がっていただく、というのが大事にしているところです。
予約は、電話かLINEの公式アカウントから。電話番号、LINEについては、すみさわのインスタグラムに掲載されています。
