今回は、aikoさんのニューアルバム『残心残暑』のHidden Storyアルバムの1曲目は、【blue】。

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「この曲はめっちゃ不思議なきっかけでできたんですけど。普通にパソコン見てたら、どんな画面やったか忘れたんですけど、blueっていう文字が見えたんです。小文字のblueっていうのが見えて、その文字を見た瞬間に曲にしようって思って、そこからわーって作ったらこの曲ができたんです。blueっていうワードを見た瞬間に♪blueっていうメロディーが一緒に出てきて。」

これがアルバムの冒頭。リリックは、《blue。このハンカチ 湿った夏の匂いがするな

「この《湿った夏の匂いがするな》っていうのも、以前のアルバムで『湿った夏の始まり』というアルバムがあったので、色んな季節を、その時は湿った夏の始まりの梅雨の時期だったので。今回は残暑なので、なんか繋がってたらいいなと思って作りました。このアレンジは、デモを録っている時にこういう感じでっていうなんかニュアンスをしまやんに伝えてアレンジお願いしたんですけど、夕焼けがとても綺麗なようなアレンジをあげてきてくださって。しまやんがあげてきてくれたアレンジを聞いたのはレコーディングの帰りの夜中やったんですけど、帰りの車の中で聞いたんですけど、帰りの道、真っ暗やったのに夕焼けが見えるぐらいほんとに素敵で。しまやんがこんな素敵なアレンジをつけてくれて、この曲はまたさらに生まれ変わることができたっていう。なんかほんとにこれも奇跡の曲って感じですね。」

フリューゲルホルンが 夏の夕暮れに誘ってくれるかのような1曲。アレンジご担当の、しまやん こと 島田昌典さんの素晴らしいアレンジです。続く2曲目も島田さんのアレンジによる【skirt】。実は アルバムの他の曲でも 歌詞に〈スカート〉が登場しますが、スカートはaikoさんにとってはどんな存在なんでしょうか?

私はやっぱスカート履く時は特別な時なイメージがありますね。ちょっと恥ずかしい、みたいな。なんか"スカート履いてきてんねや"って思われるのもなんか恥ずかしい。それで好きがバレるみたいなイメージが自分の中ではあって、すごくそわそわしちゃうんですよね。恋愛においてもスカートを履くっていうのが、なんかバレてしまうんじゃないかなみたいな。だから、とても象徴的なものではある感じがします。」

ちなみに、この曲では《そのスカートは2度とはきません》と歌われていて、切ないシチュエーションが描かれています。

blue】、そして【skirt】で幕を開けるアルバム『残心残暑』。このアルバムタイトル『残心残暑』には、どんな意味が込められているんでしょうか?

「制作の最中に、たまたま私が武道の剣道みたいな素振りをした時に"残心だね"って言われて。で、私は〔ざんしん〕って、これめっちゃ新しいやん、奇抜やんていう意味の〔斬新〕しか知らなくて。"それってどういう意味?"って言ったら、"残す心と書いて残心で、例えば剣道とかそういう試合とか、柔道とかもそうだけど、最初も最後も心を相手に悟られることなく平常を保っていること、それを残心って言うんです"っていうの教えてもらって、すごい素敵やなと思って。なんか自分の解釈で、恋愛も、相手に悟られたくない気持ちもあるし、相手の前でほんとの気持ちを出さずに普通の顔する瞬間、でも家に帰ってすごく泣いたりとか、そういう恋愛ってたくさんあるなって思って。自分の心残りだったこととか、自分の中で残った気持ちを私は曲にしてるから。でもそれを悟られまいとして家に持ち帰った後に耐えられずにそれが曲になったりとかもしてるし、違った意味で残心かもと思って。それで、ちょうど夏の終わりやから『残心残暑』が良いかもしれないと思って、自分で作った四文字熟語みたいなのをタイトルにしました。」

アルバムにはトオミヨウさんアレンジによる曲も収録されています。タイトルは【よるのうみ】。

1人で行った真っ暗な海が、自分の答えの出ない悩み事をしてる瞬間と一緒なんやなって思ったんですけど、でもきっと夕方の綺麗なこれから夜にかけての海を大切な人と見てたらまた違うっていう。夜の海に飲み込まれる前にこの人がいるから私は大丈夫、って思って聴けると思うんです、この曲を。なんか色んな聞き方をしてくれたらいいなってすごく思っています。アレンジももう最高ですよね。すごく素敵で大好きなんですけど、トオミさんのアレンジで今回はこのアルバムの中ではアウトロが1番長くて。ギターのトレモロがもうすごくね、かっこいいんですよね。で、アウトロのベースのアドリブ、いつも演奏ツアーとかでずっとやってくださってる須長くんっていうお兄ちゃんが弾いてくれてるんですけど、めちゃくちゃかっこよくて、みんなで演奏してレコーディングしてる時は夕方ぐらいの海に見えました。作ってる時は、0から1の時は夜のけたたましい荒々しい瞬間の海だったんですけど、演奏してくれてる時は夕方ぐらいの海にみんなが連れて行ってくれたっていう感じがすごくして、幸せでした。」

aiko

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