今回は、元プロサッカー選手、酒井高聖さんが手掛ける【さかいのびーつ】。兵庫県神戸市を拠点に、《アスリートの活動を日本の農業で支える》を合言葉に野菜〔ビーツ〕にまつわる商品を展開する【さかいのびーつ】のHidden Story。
酒井高聖さんは、Jリーグのアルビレックス新潟やドイツのクラブでプレーし2022年に現役を引退。その後、兵庫県神戸市に〈Alster & Garten〉というカフェをオープンされました。
「アルスターというのが、僕と僕の兄が住んでいたドイツのハンブルグという町の中にある湖の名前なんですけど。アルスター湖という湖の周りにはすごく自然が広がっていたり、お店が広がっていたりして、町に住んでいる人たちの中心の場所になっていたので。そういった感じで神戸に大好きなコーヒーを通じて、そうやって人が集まってくるところを作りたいな、と思ったのが〈アルスター〉という名前のきっかけで。ガーテンというのは、さっきも言った自然というところなんですけど、ガーデンという英語のドイツ語です。自然・緑を感じながら、そこでゆっくりしてもらうっていうことに僕らが意義を感じているので、店内には植物とかも多く、ゆっくり過ごしてもらいたいな、ということで名前をつけました。」
ドイツから帰国した酒井高聖さん。お話にあったカフェのほか、もう一つやりたかったことが〔ビーツ〕でした。
「ドイツではビーツという野菜がサッカー選手ないしアスリートに向けてすごくいい食材であるから積極的に取るような指導をされているので、それで僕もそこに必然とのって。最初に食べた時、新しい味のする野菜だなと思いつつ、どんなものにでも合うなと思って食べた瞬間に結構好きになってよく食べていたんですけど、それが日本帰ってきたらあんまり見ないというところで。それなら自分で作ってしまおうということで、ピーツを今作ってやっています。」
スーパーフードとも言われるビーツ。ドイツでは、アスリートに向けて推奨されているんですね。ドイツにいた頃はビーツをたくさん食べていた酒井さん。でも、日本ではビーツを見かけることが少ない。そこでこう考えます。じゃあ、自分で作ればいいんじゃないか。
「まず最初考えていたのは、僕自身ビーツを栽培しようかなと思って。農業もすごく興味があったし好きなことではあって。なので自分で栽培してみようって思っていたんですけど、最終的にアスリートに届けるということを考えた時に、"多分自分でやっていたらそこまで手が回らないと思うよ"という話から、"契約農家さんにお願いして作ってもらって、それを自分で販売したらどう?"という提案があり、今は生産は農家さんに任せて自分で販売をしていくということをしています。」
酒井さんは、その頃知り合った山田真輝さんと共に会社を立ち上げ。ビーツの生産は、兵庫県や京都府の契約農家の皆さんに担ってもらい、それを加工・販売することを決めました。
「ビーツをそもそも知らない人にどうやったら手に取ってもらえるんだろう?ということで、食べてもらうハードルを低くしていくことに注目して。ビーツはそもそもどんな調理方法か分からないというところから、それだったら加熱して水煮にしてすぐ食べれるような状況にしようという風に思いついたのがまず最初の[ビーツの水煮]だったんですけど、さらにそこから水煮にしてあるから加熱はいらない。ただ、カットする手間も省けたらもっといいんじゃないかということで、スライスの方が食べやすいのか、玉の方がいいのか、もしくはダイスカットがいいのかみたいなことも計算しながら。今の形は1センチ角にダイスカットしたものになっていて、パックを開けてすぐ食べられるということを売りにしているものになっています。」
でも、この[ビーツの水煮]。商品化までには何度も試作が重ねられたそうです。
「生の状態では結構固い野菜なので、どれくらい茹でた方がいいのか、あとはサイズによって茹で時間も変わったりするので、今の僕らのカットの中でどれくらいの茹で時間がちょうどいいのか、1番おいしいのかを考えました。あとは、この茹でる加工方法もこだわっていて。ビーツには水溶性のビタミンだとか水溶性のものがすごく多く含まれているので、そのまま茹でてしまうと茹で汁にビーツの栄養が流れてしまうというところをちょっと懸念をしていて。そこでたどり着いた答えが、真空パックに真空化した後に加熱をするという真空加熱が1番いいのではないかということで、今その方法を取っています。」
[ビーツの水煮]を世に出した【さかいのびーつ】。この夏には、クラウドファンディングを経て[スムージー]が発売になりました。
「やっぱり僕自身サッカー選手だったということもあって、スムージーの手軽さとかスムージーの便利さはすごく感じていて。美味しい野菜なり果物なりを手軽に多く食べられるというのもすごくいいとこだと思いますし、さっき言ったように水溶性だとか、あと加熱してなくなってしまうビタミンもあるので、そういったものをそのまま直接食べれるというのもすごくスムージーのいい点かなと思っていて。これもう本当に何回も何回も試作を繰り返して、ビーツの量をどれくらい入れるのか、あとは野菜をどう合わせていくのか。基本的にはビーツ自体がすごくいろんな食材と合うので、どれも美味しかったは美味しかったんですけど、その中でも、じゃあもっとこういう成分を取りたいからこの野菜と合わせようとか、あとはこういうシチュエーションで飲んでもらいたいからこれを入れようとか、そのバランスがすごく難しかったですね。」
美味しく 栄養補給ができるスムージー。高聖さんのお兄さん、酒井高徳選手もカフェ〈Alster & Garten〉で毎朝テイクアウトされているとか。酒井高聖さんが手掛ける【さかいのびーつ】。最後に、今後のヴィジョン、教えていただきました。
「ビーツを使った食品はどんどん出していきたいなと思っていますし、アスリートに特化したドリンクなんかも作っていけたらなとは思っています。あとは、ビーツを作る上で廃棄になってしまう皮とか、根っこ、ないしはビーツのサイズが悪くて使えないものなんかも加工品にして作っていけたらなと思っています。今現在考えているものとしては、ビーツの皮を使ったビーツのビールで、ちょっとビーツの赤い色が溶けでたビールになるので、もしそれがうまくいったらすごく面白い商品にはなるんじゃないかなとは思っています。あとは、水煮で加工できないちっちゃいビーツなんかは、皮も剥かずに全て皮ごとペーストにしたりもしています。」
【さかいのびーつ】では、「スムージー」、そして「ビーツの水煮」、いずれもオンラインで販売されています。また、飲食店の皆さんなどへの卸しもおこなわれているとのこと。ご興味をお持ちになった方は、【さかいのびーつ】までご連絡ください。