今回は、まるで宝石のような美しいお菓子【こうぶつヲカシ】が大人気。ArtなFoodであそぶをテーマに活動する、『ハラペコラボ』のHidden Story。

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まずは、『ハラペコラボ』を立ち上げたきっかけについて代表の野尻知美さんに教えていただきました。

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「立ち上げのきっかけというのは、私はもともと美術大学で建築やデザインを勉強していたんですけど、不動産業界だとか外資系の製薬会社などで働き、クリエイティブな方に行かなかったので、同じ学校を卒業した仲間たちと卒業後に社会人になってから、派手というか凝ったホームパーティーをはじめて、それを〔はらぺこ会〕と呼んでいたのが最初のきっかけになった試みというか、遊びですね。それがだんだんちょっと度を超えていって、仕事の依頼も受けるようになっていったので、ケータリングという形で最初は起こしたというのがきっかけになります。」

2009年、東京から福岡へ移住した野尻さん。最初は アートなケータリングを手がけていたそうです。そんな中、お客さんから ある依頼を受けました。

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「私たちがアートなケータリングという形で、コンセプトごとに様々な場面や年齢層にあわせてお料理をいろいろ変えて...という演出をして活動していた時に、気に入ってよく頼んでくださるクライアントの方に、"ちょっと今度石のアクセサリーの展示があるんだけど、石みたいなお菓子、あなたなら作れるんじゃないの?作ってみてよ"みたいな感じで、多少無茶ぶりされまして。石みたいなお菓子っていう、とても抽象的な表現で戸惑ったんですけど、その頃かき氷を作ることをしていて、花のかき氷という、お花を飾ったりとか色んな蜜をかけて色とりどりのかき氷を作っていて今も作ってるんですけど。そのトッピングの1つに日本の和菓子である琥珀糖というものを使って水色とか紫色の表現をしていたので、この琥珀糖を使ったら石みたいな表現がもしかしたらできるんじゃないかなと思ってやってみました。」

琥珀糖を使えば、石をお菓子で表現できるかもしれない。野尻さんは、試作を重ねました。

「琥珀糖はすごく単純というか、寒天と水とグラニュー糖を溶かして。羊羹を思い浮かべてもらえばわかりやすいかもしれないですけど、冷やし固めたものを切って乾かすと、しゃりっとした食感のお菓子になるんです。私は特に和菓子職人とかパティシエとかじゃないんですけど、そういうアイデアでひとまず自分で作ってみたんですよね。で、とにかく形を切ってみたら、意外とめちゃくちゃ可愛い形になったんですよ。これだったら今いる従業員たちでも作れるし、フレーバーもちゃんと色ごとに変えたりとか、色も天然由来の色素とかにしてまとめ上げたらいけるかな、と直感で思いました。石の採集箱に見立てた箱に仕立てていくこともすぐその瞬間に浮かんだので、これは育てがいがあるものになるのかもしれないって、すごくワクワクしました。」

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琥珀糖に色をつける際、科学的なものではなく、天然由来の色素を使っていることも、大きな特徴です。ピンクならビーツ、ブルーなら藻の一種 スピルリナ。そうした原料で色をつけました。

そして、もう一つ、石の、複雑な形ですが、こちらは 全て手作業で 琥珀糖をカットしているとか。

「結構、向き不向きというか...最初から達人レベルに切れる人もいましたし、練習していってできるようになる人もいるみたいな感じで。切磋琢磨して技術を上げていった結果、最初は水晶のような形を目指してたんですけど、安定して切れるようになったところでダイヤとかエメラルドとかルビー・サファイアみたいな宝石のカットもできるようになっていって表現がどんどん広がっていった感じですね。」

実は、『ハラペコラボ』のスタッフは、それまで食のプロとしての経験がない子育て中のお母さんたちが中心となっているのです。

目指してるところが、女性たちが地方でこういったオリジナルのものを作って、たくさんの人を喜ばせられるものを作れるということで。女性がこうやって働いて、パートさんであっても社員さんであっても、どんなポジションでもクリエイティブなことができたらな、そんな機会が増えればいいなと思って構成してて。それで、ここで働いて毎日毎日いろんなものづくりをしてる間に、どんどん自分でもアイデアを出せるようになったりとか、見る目が養われたりとか。そういう風に鍛えられていくことで、気づいたらクリエイターに本当になっていたというスタッフがたくさんいるので、それを私自身も目の当たりにするのが本当に幸せなことで、それを地方から発信できているということ、そこにこの事業をやる意義があるなと思っています。」

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『ハラペコラボ』は、2019年に法人化し、《メルティングポット ハラペコラボ株式会社》を設立。福岡に実店舗も開くなど、その後も食にまつわる事業を進めています。

そんな『ハラペコラボ』、今後についてはどんなことを考えているのか?代表の野尻知美さんに、最後に伺いました。

「おおもとのメインの活動は〈ArtなFoodで遊ぶ〉ということで、食でテーブルを彩り、それでたくさんの人を笑顔にして、家族を笑顔にしたら平和になる。それが世界平和になる、ぐらいに思ってたりするので、オンラインでどこでも学べる[あそぶいろどる料理教室]というオンライン料理教室を夏から始めたんですね。

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お菓子作りのところだけじゃなくて、彩る食事を使ってみんなで食を楽しもうというところを提案して、みんなで楽しんでいけたらなと思っています。例えばクリスマスもそうですけど、お誕生日とか家族の食のイベントって年に何回もあると思うんですけど、たくさん品数を作らなきゃいけないとか、準備が大変とか、片付けが大変とか、大変なところが多いと思うんですけど、そういうのを省いても演出できるような方法を提案して。で、少しでも写真を撮りたくなる、自慢したくなる、家族が喜ぶ、思い出になる、みたいな機会を増やしていけたらなと思っています。」

オンラインの「あそぶいろどる料理教室」。毎月、さまざまなテーマでお料理のアイディアを教えていただけるということで1月は、ほかほか蒸し料理とコトコト煮込み料理で冬を楽しむ休日のおうちごはん会となっています。

また、『ハラペコラボ』のお菓子はオンラインでも販売されていますので、興味をお持ちになった方は『ハラペコラボ』の公式ウェブサイト、ご覧ください。

『ハラペコラボ』