師走の12月に入って本格的な寒さとなってきました。寒くなると暖かい飲み物やスープが欲しくなりますが、寒いあの国での「暖かいスープ事情」はどうなっているのでしょうか。

ノルウェー スヴァールバル諸島にある町ロングイェールビーンの世界最北の寿司店「Sushi Kita」のシェフ、木下あき子さん

「極夜で一日中真っ暗で現在マイナス8℃です」

ロシア モスクワ 柴田 顕さん

「こちらはマイナス2℃です。」

ノルウェー ロングイェールビーン 木下あき子さん

Q 早速ですがスープについて教えてください。

A  「Fisksuppe」というお魚のクリームスープです。レストランでは定番メニューです。ノルウェーの寒い冬の定番であるフィッシュスープは、家庭でもよく食べられています。北海原産のタラやノルウェーサーモンなど数種の魚とじゃがいも、にんじん、ポロ葱を牛乳やフィッシュコンソメで煮込んだものです。スープというよりシチューのイメージで、メインの料理として食べます。

Q やっぱり漁業国だけあって魚なんですね?

A  ノルウェー(特に北ノルウェー)では昔から地元で獲れたトシュク(タラ)を乾燥させて保存食にし、それを何時間も水につけて戻したものを料理によく使います。ノルウェーはサバをはじめ、サーモンやタラなど自国の原産物をほとんど輸出して、自分達は燻製や塩漬けなどの保存食を食べる習慣が残っています。ノルウェー産のサバは脂がのっていて本当においしいのに生のサバを料理して食べる習慣がないのです。

ロシア モスクワ 柴田 顕さん

Q やっぱりボルシチのイメージがあるのですが。

A  ビーツを使った代表的なスープ。具材はジャガイモ、人参、玉ねぎ、キャベツ、牛肉などを使うことが多いが特に決まっている訳ではない。代表的なだけあって美味しいボルシチは本当に美味しい。自分でボルシチを作れると言うと、大抵称賛の声を頂ける。そのほか、シーはボルシチと同じくロシアで古くから食されているスープ。歴史が長い分諺にも使われている。「妻にはまずシーを茹でることから教えろ」という言葉もある。基本的にはキャベツを使った野菜スープ。生のキャベツを茹でた後に人参や玉ねぎ、セロリなど好みの野菜と好きな肉を入れて煮る。生ではなくザワークラウトを使っても良い。その場合は「酸っぱいシー」と呼ばれる。味付けは塩こしょう。

Q 他にもあるのですか?

A  ラッソリニクは塩漬けキュウリのスープ。こちらも古くから作られている。牛肉ブイヨンを使い、塩漬けキュウリ、玉ねぎ、人参、ジャガイモなどで煮る。最初はピクルスの風味がきつくあまり食が進まないが、慣れると美味しい。あとはきのこのスープはロシアで安心して食べられるスープの一つ。ロシア人はキノコ狩りが大好きで。郊外に別荘を持っているのロシア人は、森へと赴きキノコ狩りを始める。ちなみにレシピは何の意外性もなく、 キノコを鍋で茹で塩こしょうで味付け、ジャガイモ、玉ねぎ、人参、その他の穀物を入れて煮て食べる。秋から春にかけて特にレストランで良く出るスープです。