今週末の19日に公職選挙法等の一部を改正する法律が施行され、投票権が18歳以上に改められます。7月10日に予定されている参議院選挙、続いて東京都民の方は東京都知事選挙での投票が、18歳以上の投票となります。「あの国の若い有権者事情」はどうなのでしょう今朝も二つの国にコネクトします。
「選挙権は何歳からでしょうか」という質問です。
アメリカ、ニューヨーク 中村英雄さん
「18歳以上です」
ブラジル、サンパウロ 吉川真由美さん
「16歳以上です」
アメリカ、ニューヨーク 中村英雄さん
Q 18歳からの選挙権になった経緯はどんなものでしょうか
A アメリカでは、1971年7月より選挙権年齢は連邦だけでなく州及び、地方選挙も一律に18歳となりました。これは合衆国憲法修正第26条の成立によるものです。理由は、ベトナム戦争の際に「18 歳以上21 歳未満の者は徴兵されるのに選挙権がないのは不当である」と主張されたこと。アメリカでは、18歳はフルに社会構成員です。中高校生でもしっかりした政治的意識、意見を持っています。学校でも、ディベートの伝統が根強く、相手の立場を尊重しながら自分の政治的主張を表現する訓練が行き届いているとおもいます。これは、たとえ未成年であっても個人の権利と人格を尊重する考え方がしっかり根底にあるからだと思います。
Q ある種教育が進んでいるということなんですか
A 政治は、体育や美術、音楽と同じで体得するもの。常に意見交換と社会改善意識を念頭に置いていざという時(投票時)に間違いのない自己主張ができるようにする...それは、毎日筋トレやジョギングを怠らず試合に臨むアスリートや、音階練習を欠かさないミュージシャンと同じ。日本になくて、アメリカにあるものは「政治のエクササイズ」だと思います。
ブラジル、サンパウロ 吉川真由美さん
Q 16歳からになった経緯について教えて下さい
A 1988年の憲法に初めてその権利についての項目が入れられ、次の年の大統領選挙から16歳で選挙に参加できるようになりました。ブラジルでは軍事政権が1964年から1985年まで続きました。1985年に、軍政から民政に変わって、再び、国民が直接、大統領を選ぶ権利が得られました。その頃、学生の政治への関心が高く、学生による政治運動が行われていました。その結果1988年の憲法改正で、16歳で選挙に参加することが決まりましたが、選挙が義務付けられるのは18歳から70歳までです。ですから、16歳から18歳までの学生は投票する権利はあるものの、義務ではありません。ただ選挙権があるのは責任重大だと思います。
Q 最近のブラジルは政治的に混迷していますが若い人の反応は
A 現在の大統領の弾劾裁判のこともあり、国民の政治に対する信頼がすごく低くなっています。大統領の弾劾への賛成派が多く、最大規模のデモがブラジルの各地で行われました。 一方で、16歳の選挙権を有する若い年齢層の人たちは、政治への関心がなくなってきていると思います。 何人かの高校生に聞いてみましたが、政治についてあまり理解していないので、選挙には参加したくないと言っていました。1989年には、大統領が選挙で直接選ばれるようになったので、みんな投票しに行こうと張り切っていた頃とはほど遠いです。学校で政治に関する教育は義務ではなく、政治教育を行っている学校と行っていない学校があります。これも政治への関心が低い原因の一つだと思います。