芸能人が反社会勢力から金銭を受け取ったとして問題となったニュース、記憶に新しいところでしょう。世界のあらゆる国にも反社会勢力はあると思うのですが、海外では反社会勢力と一般市民の生活の関わりはどうなのでしょうか?今朝は、アメリカとイタリアに電話をつなぎ、お話を伺います。

アメリカ ニューヨーク 中村英雄さん

JK: ニューヨークでは反社会勢力とどう付き合っているのですか?

A 昔からニューヨークとイタリアンマフィアは切っても切れない関係。

JK 今は、ニューヨークで生活していてマフィアの恐怖を感じる場面はあるんですか?

A ほとんどないですね。ブロンクスやブルックリンの奥にゆくと、廃棄物業者御用達の深夜営業イタリアンレストランなんかがあって、そういうお店はちょっと独特な雰囲気ですが、ファミリー以外の他者に危害を加えるケースは少ないので、危険は感じません。

JK: 日本で問題になったような、芸能関係者とマフィアのような反社会的勢力との結びつきはあるのでしょうか?

A 以前は、イタリア系の歌手や俳優はマフィアとのおつきあいを自慢したりしていましたよね。フランク・シナトラとか。確かに、芸能かいや興行界もマフィアが仕切っていた時期があったので、そういう関係が暗黙のうちに了解されていた節もありますが、いまのようにマフィアが力を失ってしまうと、もはや誰も、そんな関わりは持ちたいとは思っていません。なにもプラスにならないからです。結論を言うと、反社会勢力は今のアメリカでは完全なる「オワコン」といった感じです。公明正大を支持し明朗会計と科学技術を信頼する現在のアメリカ人にとって、マフィアは遠い過去の存在かもしれませんね。

JK フランク・シナトラから始まり、今ではカーディーBや21 Savageなど、アメリカではグラミーを獲得するクラスの超人気ラッパーたちギャング出身であることを公表し、それが烙印になっていないんですね。ポピュラー音楽とアンダーグラウンド闇の世界とのつながりがタブー視されない背景には何があるのですか?

A 黒人の反社会勢力の話はちょっと別次元。こちらは建設業や廃品回収業や労働組合への影響力も少なく、ストリートの不良レベルです。 しかも失業率が4パーセントを切ろうという今 軽犯罪とて有罪判決出たら10ー15年は服役しますから その分の人生の損失たるや計り知れません。 ストリートで麻薬(これも時代遅れ)売って捕まるくらいなら工事現場やIT や医療施設で働けば時給3000円は稼げるのでそっちを選びます。ましてや殺人なんか犯したら黒人は差別されてますから懲役200年もざら。ブラザー達も「経済学」を重視するするようになったってわけ。かつてのスラム街からドカヘル姿のガタイのいい彼らが揚々と出勤する それが今のインナーシティです。私だってギャング出身程度のメッセージではないでしょうか? ファッション ギャング。とにかくここ10年でギャングスタラップみたいなのはアピールを失っていると思います。別の意味でギャングがらみのラップもおしまい。ラップそのものに反社会性がなくなっています。

とにかく平和です。27年住んでいてこんな平和は初めて。初めて日本の方が不幸に見えてきました。

イタリア フィレンツェ 小泉真樹さん

JK イタリアといえば、どうしても、映画ゴッドファーザーのマフィアが今でも力を握っている気がします。

A イタリアは反社会勢力、いわゆるマフィアが政治、経済と密接な関わりを持っていると言われていて行政などにも入り込んで来ることがある為、地域によっては市民生活にも影響を及ぼしている場所もあるようです。

有名なのは、シチリア、ナポリ周辺、カラブリアなどで、私の住んでいるフィレンツェはマフィアに関する認知度や情報量もこれらの地域とは全く違うのだと思いますが、近年では武器や麻薬の売買などの犯罪活動だけでなく合法ビジネスも手広くやっているので、フィレンツェにいても某ピッツェリアはマフィアの経営という噂があったり某会計士はマフィアのお金を洗っているということがまことしやかに言われていたり等ということは、あったりするんです。

JK ピザ屋さんがマフィア経営ですか。心配なのは、一般の人は問題に巻き込まれることないですよね...。

Aあと、近年イタリア各地で地震などが起きていますが、建設業もマフィアの収入源になっている場合が多いと言われています。震災後の復旧工事は大きなお金が動く為、マフィアが関わって不正な手段で復興事業を請け負い、ずさんな工事による建築物が建ってしまい、又その地域に地震などが起きると被害が拡大するという悪循環が起こることもあるようです。

そもそもファミリー、血の繋がりを非常に大切にする国民性もあるので、イタリア人というと人懐っこいイメージがありますが、本当のところ信じられるのはファミリーだけという感覚も強く、ちょっとマフィアの話とはズレるかもしれませんが、市民生活の中でも親戚がいたりコネやツテがあるかないかで、生活の色々なことが解決したりしなかったりということが普通に起こる国です。(例えば家族経営の会社がイタリアには沢山あり、これも優秀で高学歴な知らない人よりも頭は悪くても親戚を信頼して雇うというパターンが多いからです。)