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新型コロナウイルス感染拡大防止のため、日本では、今月2日から全国の小中高校で臨時休校が始まりました。その後、2週間以上学校に通えないまま春休みを迎えた、というお子さんたちが、今まさに多いと思います。さきほど「COME TOGETHER」のコーナーでもやむを得ず子どもだけで留守番をする際に注意したいポイントについてお伝えしましたが、海外では、どういう対策がされているんでしょうか。また、そもそも「カギっ子」という概念はあるのでしょうか?この時間はアメリカと中国に回線をつないで、「子どもだけの留守番事情」をチェックします。

アメリカ・ニューヨーク / 中村英雄さん

Q1 アメリカでは、保護者が帰宅するまで、お子さんが一人で留守番する、いわゆる「カギっ子」という存在はありますか?

A1アメリカではおおよそ12歳までの学童を留守番させたら逮捕されます。学業の送り迎えも両親または保護者の付き添いが必要です。よって中学生未満の「カギっこ」はいません。ジョンさんもご存知と思いますが、英語にも"Latchkey Kids"(鍵束を渡されている子供達)と言う言葉はありました。と言っても1970年代の話。米国の共稼ぎ家庭が、全体の31%足らずの時代の言葉で、今は死語です。

Q2 では、12歳以下のお子さんを一人で留守番させないために、アメリカ(特にニューヨーク)では、どのような対応をとっているのでしょうか?

A2 ほぼ全家庭が共稼ぎかシングルペアレントのNYでカギっこ禁止がどうして成立するのかと言うと、両親以外の家政婦さん(ナニー)などによる世話が充実しているからなんです。また、コミュニティで子供の面倒を見る「学童保育」のような取り組みも盛んです。アフタースクールの活動も充実しています。公文式(Kumon)も流行っていて、ニーズに合っています。

中国・上海 / 松田奈月さん

Q1 松田さんは、引き続き日本に一時帰国中とのことですが、上海の状況、どんな情報が入ってきていますか?

A1 上海では、街はだいぶ正常化に戻りつつあるとのこと。学校はまだ一斉休校のままで、子供たちは家にいて朝からネット授業の参加に忙しいようです。今は海外からの感染逆流防止対策が厳しくなっていて、日本からの入国は全員PCR検査が行われることになりました。

Q2 中国では2015年まで「一人っ子政策」が導入されていましたが、そうなると今の小学生たちは「かぎっ子」がたくさんいるんじゃないかと勝手にイメージしてしまいますが・・・

A2 中国では小学生が子供だけで登下校することはまずなく、保護者などが必ず送り迎えをしています。毎日学校の下校時間になると、学校の正門には保護者たちが殺到し、下校渋滞ができるほどです。子供が誘拐などの犯罪に巻き込まれないよう、子供が一人だけで家に帰ったり、家でお留守番をするということはほとんど聞いたことがありません。

Q3 小学生でも送り迎えが必要なんですね!でも、対応できないご家庭もあるんじゃないですか??

A3 中国では共働きが一般的ですが、おじいちゃん・おばあちゃん頼りの家庭は日本以上に多いです。普段でも月曜日から金曜日はおじいちゃんおばあちゃんの家に預けっぱなしで、週末だけ両親と一緒に過ごすというケースも珍しくありません。いまの小学校世代は基本一人っ子なので、4人のおじいちゃん・おばあちゃんが一人の孫の面倒を見ている状況です。中国では退職年齢が早いこともあり、時間のある元気なおじいちゃんおばあちゃんがいる家庭が多いです。現在学校が休校で、オンライン授業が始まった当初は、家で子供を見ているおじいちゃん・おばあちゃんがネットの使い方がわからずに四苦八苦したというコメントも多かったです。

Q4 日本での未就学児に近いケアをしているわけですね。ちなみに、中国では「学童保育」は一般的ではないのでしょうか?

A4 日本の学童保育とはだいぶ違うのですが、学校の近くや大型住宅地には個人経営の「学童クラス」がよくあります。小学校へのお迎え、宿題指導、場合によっては晩ごはんまでがセットになっていて、両親が迎えに来る夜まで滞在が可能です。中国の小学生は毎日大量な宿題が出るので、学童クラスには必ず学習指導の先生がいて、宿題を見てもらいながらひたすら勉強のようです。友達と遊ぶようなスペースや時間はないとのこと。