最近、街で電動キックボードに乗っている人をよく見かけるようになりましたね。都市部の新たな移動手段として注目を集めている電動キックボード、現在の日本の交通ルールでは・・・
- 走行できるのは車道のみ
- 運転免許が必要
- ヘルメット着用義務
となっていますが、その規制を緩和し、時速15キロ以下であれば、車道に加えて路側帯や自転車専用レーンを走れて免許不要、ヘルメット着用も義務化しないという新ルールが検討されています。しかし、ルールに違反して使用しているユーザーがいることや、実際に事故が起きていることで、慎重論も出ています。そこで、この時間は「電動キックボード」について、海外の事情をチェックします。
●アメリカ・ロサンゼルス在住 / 手島 里華さん
Q1 まずはロサンゼルスの新型コロナの状況を教えてください。
A1 コロナウィルスの感染拡大を防ぐための規制がかなり緩和されました。お店の人数制限もなくなり、ソーシャルディスタンスもキープしなくてよくなり、ワクチン接種者と非接種者では少し異なりますが『マスク着用のルール』も大幅に緩和されました!ワクチンの接種者は、ロサンゼルスカウンティでは、16歳以上で1回以上ワクチンを接種した人が全体の66%、65歳以上のシニアでは86%となっています。新規感染者は昨日1日で200人と、一時期は10万人という単位でしたから大幅に減りました。以前は新規感染者数をネットや色々なところで目にする機会がありましたが、今はワクチン接種者の数字を見る機会の方が増えています。今は予約などしなくても、誰でも最寄りのファーマシーなどで簡単に接種できます。
Q2 今日のテーマ「電動キックボード事情」ですが、ロサンゼルスが本場だと聞いています。
A2 はい。ロサンゼルス市とサンタモニカ市で、電動キックボードの利用が法律で認められています。電動キックボードは2018年9月にUberやLime、BirdやLyftなどのカーシェアの会社が始めたサービスで、コロナ前はロサンゼルスで3万7000台、サンタモニカで2500台ありましたが、コロナのStay at homeのオーダーが出て、数百台まで減り、ここにきてコロナのワクチン接種者が増えて、気温も上がってきたのでまた利用者が増えています。お値段は各社によって異なりますが、だいたい電気がオンになった時点で1ドル。その後、1分ごとに15セントから25セント(日本円だと、1分20円~30円というところ?)というのが相場です。サンタモニカは観光客に利用されていて、ロサンゼルスのダウンタウンではスーツを着たビジネ スマンの姿をよく見かけます。どちらも駐車場が高いうえ、交通量が多いので、中心地から離れた所に車を停めて電気スクーターで街中を移動するという若者が多いです。
Q3 免許や、交通ルールについてはどうなっていますか?
A3 ロサンゼルスでは16歳以上の利用が認められていて、自動車の運転免許か、許可証が必要です。ヘルメットをかぶって乗ります。また時速15マイル(24キロ)以下で走らなければいけません。もちろんお酒を飲んでの運転は禁止です。飲酒運転していると250ドル(2万7000円くらい)以下の罰金が科せられます。歩道は走ってはいけないけれど、自転車道は走ってOKです。基本的には車道を走ります。
Q4 保険はどうなっていますか?
A4 個人の電動スクーターの場合、購入時に任意で保険に加入できます。内容は人身傷害や、物的損害賠償責任などをカバーしています。レンタルは支払いの中に含まれています。
Q5 車や歩行者との接触事故も心配ですが、そのあたりの対策はいかがでしょうか?
A5 電気スクーターはとても手軽なので、特にサンタモニカなどの観光地では観光客が利用するケースが増えています。乗り慣れていない観光客は、操作の理解が不十分なまま運転して人にぶつかったり、歩道を走って歩行者にぶつかったり、車にぶつかるケースもあります。またヘルメットを使用しないで乗る人が多く、頭蓋骨骨折といった大けがも報告されています。手軽に利用できる反面、こういった事故が引き起こされているので、利用する前によくルールを把握するよう、利用者に呼び掛けています。そして利用者が簡単にヘルメットが借りられるような設備を整えようと、運営業者たちは検討しているようです。
●韓国・ソウルにお住まい / オム・キフンさん
Q1 まずは、韓国の新型コロナの状況、いかがでしょうか?
A1 6月15日基準で1日545名の感染者が出ています。ここ数日少し感染者数が300人単位になるなど減っていたんですが、また新たに増えています。ワクチン接種率は全国合わせて26%で、今、韓国政府は全力でワクチン確保に力を入れています。
Q2 きょうのテーマ「電動キックボード事情」ですが、韓国でも数年前からブームになっているんですよね?
A2 韓国では3年ほど前から電動キックボードがとても多く普及しています、若者が移動手段として乗ってる姿を街でよく見かけます。最初は趣味、通勤手段として乗っていた電動キックボードですが、最近はアプリで注文する飲食の配達にもよく使われています。電動キックボードのシェアサービスも徐々に増えまして、今は約16の会社が4万台の電動キックボードでシェアサービスを行っています。
Q3 日本では規制緩和の動きですが、韓国では規制が強化されつつあるとか?
A3 電動キックボードでの事故数は毎年増えています。不法駐車問題もそんなんですが、あらゆる交通法違反、車との衝突などで事故が絶えないです。今はヘルメット着用を義務つけていますが、ヘルメットを着用しないで乗る人が多いので事故発生率が高いです。なので政府は法律として16歳以上でバイクの免許を所持、二人乗り禁止、25キロ以下の速度制限にするなど、厳しく取り締まりをしています。
Q4 そのほか、基本的なルールはどうなっていますか?
A4 最初電動キックボードは自転車道路上での使用は禁止で、一般道路での走りだけが許されていたんですが、利用者達の反発で自電車道路での走りが可能になりました。ヘルメット着用も義務化されていましたけど利用者のほとんどが守っていなかったので、今現在警察は取り締まりを強化しています。捕まると罰金20万ウォン(日本円で約2万円)です。ここ一ヶ月で1522件の取り締まりがありまして、そのうち47%がヘルメット非着用だったそうです。
Q5 ちなみに、保険はどうなっていますか?
A5 レンタル会社保険の場合、利用者と会社の問題だけを取り扱っていて、利用者が事故を起こしても被害者には何の保証もなく、加害者と被害者が個人でやり取りをしています。なので電動キックボードの利用者は個人で保険を持っていなければなりません。韓国で電動キックボードの保険は2020年下半期から登場しました。