
いま、「小学生の荷物が重すぎる!」という問題が、日本中で話題となっています。統計によると児童たちが登下校で運ぶ荷物は、平均で5キロ~6キロ、荷物が多い時は合計で8キロほどにもなるんだそうです。教科書のページ数や教材が増えていることに加え、今年度から、パソコンやタブレットを使った授業が本格的にスタートしたことで、小学生の荷物が、さらに重くなっています。
そんな重すぎるランドセルや荷物によって、肩や腰の痛みを訴える児童が増えているといいます。子どもたちの健康に影響しないよう、工夫して改善していただきたいですが...
さて、海外の小学生も、同じようにたくさんの荷物を持って登下校しているのでしょうか?この時間は「小学生の荷物事情」と題して、2つの国の事情を伺います。
●フランス・パリ / 柳瀬充さん
Q1 柳瀬さんも小学生のお子さんがいらっしゃいますが、フランスの小学生の荷物は多いですか??
A1 荷物自体はさほど多くないと思います。教科数が少ないため数は少ないですが、日本の様に教科書が上と下に分かれておらず、ハードカバーなので、一冊一冊が重く、ノートも授業で書くことよりもプリントを貼り付けることが多いので、どんどん重くなります。参考までに息子のカバンを計ったら5キロほどありました。学校から遠いお子さんには少しきついと思います。ただ、フランスでは指定の体操着がなかったり、音楽の授業をやっている学校がほとんどなく、日本のように体操服やリコーダーなどの芸能教科に使う用具を持っていくことがないため、その分は軽減されているかもしれません。
Q2 それでも5キロですか...荷物を入れるのはカバンですか?リュックですか?
A2 フランスでは「カルターブル」という横長のしっかりした素材で出来ている背負うタイプの鞄が小学生の象徴です。しかしランドセルほどの耐久性はないため卒業までに何度か買い替えることもあります。高学年になるにつれて量が増えていくので、キャスター付きのカバンやリュックを使う人も多いそうです。
Q4 先ほど、体操服やリコーダーなどは持っていかないとのことでしたが、フランスの小学校では、教科書を持ち帰らないと聞きました。
A3 先生によっても違うとは思いますが、息子の通う学校では基本的に宿題に使用する教科のみ持ち帰ってきているようです。主要な2、3教科は2部準備していて、一冊は学校に置いてきているようです。私立校だと教科書も基本的に購入していて、公立校は貸し出し、と聞いています。 毎年学年末には保護者会の運営の元、中古の教科書を低価格で売り買い出来る場を設けてくれています。本を大事にするのはいいことですね。
Q4 教科書以外に、家に持ち帰ったり、学校に持っていく荷物はありますか?
A5 教科書ノート以外には担任と保護者の連絡を取るためのノート、毎日の宿題を記載する為のスケジュール表、読書の時間があるのでその為の本、他には学年によりますが休憩時間に遊ぶ為の縄跳びやビー玉、ゴム紐も認められています。
Q5 フランスの小学生の荷物もそれなりに重いということが分かりましたが、でも、登下校は保護者の送り迎えですよね?
A5 はい、フランスの小学校は送り迎えが保護者が付き添うのと、車やバイク、自転車で送る親も多いので、日本よりは小学生の負担が少ないかもしれませんね。親は大変ですが。。
●北京 在住 / 斎藤 淳子さん
Q1 中国の小学生、荷物は多いですか??
A1 多いですね。ドリルのようなものを国数英は使いますし、辞書を引く年齢になると辞書が入ります。
Q2 辞書は一気に重くなりそうですね。ちなみに、中国の小学生たちは荷物はどんなもので運んでいますか??
A2 一番多いのは、小学生向けの、大人よりは小型のバックパックです。ただ、重さを軽減するために、それにキャリア―を付けたものを使っている子も少なくありません。旅行の小型のバックパックキャリアーという感じです。
Q3 中国では、体操着などは持ち帰らないと聞きましたが
A3 中国では体育の時間に特別な着替えはしませんので、ありません。絵具などは持ち帰ることが多いですね。学校の教室が狭いところにたくさんの生徒がぎゅうぎゅう詰めで座っていることが多く、個人用ロッカーが無いかとても小さい場合もよくあります。水筒は中国ライフでは必須アイテムなので、毎日持ち帰ります。学校の蛇口の水は飲めないので、給湯器があって、そこからお湯や水を各自がくんで飲みます。
Q4 中国も登下校は保護者の送り迎えですよね?
A4 中国でも基本的には安全のために、保護者が送り迎えします。お爺さんやお婆さんが荷物をもって、子どもが歩く姿もたまに見かけます。中国では力がある人はない人を助けるのが当たり前、というスタンダードがあるので、これが普通だそうです。とは言え、甘やかしすぎではないかという反省も、最近は中国国内でも出ています。逆に日本の子どもが小さい子でもちゃんと自分の荷物をもって一人で登下校しているのを、中国の親御さんは素晴らしい、と注目する声も良く聞きます。
Q5 さて、少し話題は変わりますが、中国では学習塾禁止令によって、学習塾の閉鎖が相次いでいるようですが、今も混乱が続いていますか?
A5 塾は倒産したところもあります。中国の塾は大抵30回分など、授業料をまとめて前払いするシステムなので、既に塾費を入金した人が相当多く居るはずです。他の塾で似たようなサービスが取れるように移行している塾も有ります。中国の塾は元より滅茶苦茶高いです。一対一の家庭教師のようなサービスは50分で1万円なら安い方で、90分で2万円などが普通に有ります。こういう高級サービスに頼る家はお金に糸目は付けない家庭ですから、禁止されても、隠れて授業を受けているようで、以前より却って値上がりしたという話もあります。見つかった場合の先生のリスクが高いため、危険を冒してまで教えてくれる先生、ということで、高くなったというということらしいです。