このコーナーでは、世界各地の番組通信員とマルチにコネクト。時事問題から生活の実情まで、世界中の視点を並列して探ります。「北京冬季オリンピック」、きょうが8日目となります。きょうはスノーボード男子・ハーフパイプ決勝やカーリング女子、ショートトラックで日本選手の活躍が期待されます。この時間は、2つの国をつないで、「北京オリンピック」の盛り上がりをはじめ、各国の注目競技や選手についてもチェックしましょう。

●中国・北京にお住まいの斎藤 淳子さん
Q1 1月にお話をうかがった際、北京ではオリンピックムードが盛り上がっていないとのことでしたが、開幕して1週間、さすがに盛り上がっていますよね?!
A1 2月4日の開会式までは、北京市内もメディアも怖い位シーンと静かでした。2月1日の春節前後になっても周囲では誰もオリンピックについては話題にしていませんでした。むしろ、話題だったのは、ワールドカップアジア予選での男子チームの惨敗ぶり。日本に続いてベトナムにも負け、ブーイングの嵐でオリンピック開催直前までの数日間、話題持ち切りでした。ただ、オリンピックへの関心も、開会式以後は、急に高まりました。開会式は大よそ好評でした。個人的にはイマジンの曲には昨今の内向きで「僕らチューゴクすごい」と真逆でおどろきました。また、中国版LINEに当たるWeChatでも金メダル獲得のニュースは皆さん関心を持っていて、回覧しています。
Q2 世界各国から選手や関係者、報道陣が北京を訪れていますが、北京の街の様子はいかがでしょうか?
A2 北京の警備は毎年3月の国会開催など大きな会議やイベント前になると敷かれるもっとも厳しい警備体制が12月から続いていて、ピリピリしています。ゼロコロナ対策の影響もあり、北京市外からの流入は厳しく制限しているので、市内の人口は減っていてガラガラです。タクシーの運転手などは、冬に入ってから北京へ来る出張者や観光客が激減したと嘆いています。ゼロコロナ対策のため、一度バブル内に入るとパラリンピックが終わり、更に3週間隔離が終わるまで出て来られません。スタッフの知人は子どもと旦那さんを置いて45日間家に帰れません。
Q3 いま注目されている中国の選手は?
A3 8日に、フリースタイルスキー女子ビッグエアで金メダルを取ったグー・アイリーン(谷愛凌)で話題沸騰です。話題は彼女自身はもちろん、お母さん(北京大出身、米国スタンフォード卒のエリート、父親はハーバード出のアメリカ人)の「成功」子育て方法など。普段、子育てに奔走し苦しんでいる中国の親が夢見るドリーム&完璧娘としても注目を浴びている。同じく3年前にアメリカから中国籍に移籍したフィギュアスケート選手で、演技で失敗し、バッシングの嵐に晒されたジュー・イーさんとは対照的。
Q4 中国のメダルの状況について教えてください。
A4 (10日23時点のデータ)金3:グー・アイリーンがスキーフリースタイルで1つと、スピードスケート2つ→金メダルは合わせて3つ銀3:スーイーミンのスノーボード(スロープスタイル)とスピードスケート2つ銅0:
Q5 チーム中国のこれから期待の競技、選手は??
A5 スピードスケート(中国語は速滑スーホア)は伝統的に割と強い。今回も金2つ、銀2つ取っています。北京は寒いから湖が凍ってスケートはできるが、乾燥しているので雪は降らないので、そんなに馴染んでいない。そもそも、レジャーでスノースポーツを楽しむようになってからまだ10年位なので、今回のオリンピックを機会に盛んになるかもしれないですね。
●ジャマイカの首都キングストン在住 画家・撮影コーディネーターとして活動する長瀨 玲子さん
Q1 ジャマイカといえば、男子4人乗りボブスレーチームが、なんと24年ぶりの冬季オリンピック出場ということですが、そちらでは盛り上がっているのでしょうか?※4人乗りは長野以来24年ぶり、2人乗りはソチ以来8年ぶりの出場
A1 もちろん、ジャマイカでは話題になっています。でも、本当に盛り上がるのは、第一戦に勝ったときだと思います。(男子4人乗りの一回戦は日本時間の19日)SNSで入ってくるジャマイカボブスレーの情報は、メンバーが踊っている動画が目立って、楽しそうなのはいいのですが、2014年のソチで男子2人乗りが最下位だったときに、非常に国内で悪評で、遊んでばっかりいたからだ、と叩かれました。でも、久しぶりの男子4人ボブスレー出場ということで、期待がかかっています。
Q2 ジャマイカのボブスレーチームといえば、1993年実話をもとに製作された映画「クールランニング」が有名で日本でも「彼らが帰ってくる!」と話題になっていますが、映画はジャマイカでもおなじみなんでしょうか?
A2 「クールランニング」は、公開当時ジャマイカでは知られていなかったのです。俳優やロケ地はジャマイカが使われていますが、アメリカのディズニー製作の映画なんですね。この映画が大ヒットした当時は、ジャマイカでは公開・放映されていなくて、数年後、ジャマイカでケーブルテレビやDVDが普及されたころに、ようやくジャマイカ人が見られるようになり、冬季オリンピックがようやく身近に感じられるようになりました。ジャマイカが冬季オリンピックに出場して以来、ほかの常夏の国も参加するようになりましたね。今年こそは、単なるお笑いで終わらないことを見せつけろ、という期待が高まっています。
Q2 ジャマイカのボブスレーチームはイギリスで練習していたそうですね。
A2 選手はイギリス在住ジャマイカ人で、ジャマイカで練習しているわけではないんです。でも実は、ジャマイカにもれっきとしたボブスレー練習場があります。ジャマイカのスポーツ大学のグラウンドに、ボブスレーモデルの乗り物を置いてプッシュする練習場があります。観光地には実際のボブスレーのスレッドを店頭に置いたボブスレーカフェがありましたが、ハリケーンでダメージを受け、現在はありません。
Q3 そして、元DJのベンジャミン・アレクサンダーさんという方がジャマイカ初のスキー代表として出場しているそうですね?
A3 このベンジャミン・アレクサンダーさんは38歳のDJで、2015年、32歳の時に仕事で訪れたカナダで雪に魅了されスキーを始め、ジャマイカ人ボブスレー選手、ダドリー・ストークスの指導を受けてきました。2020年に国際大会でデビュー、今年1月のヨーロッパでの大会で7位に入り、オリンピック出場を決めました。ジャマイカは街中に音楽があふれる国で、ジャマイカ人の多くが自称シンガーだったりDJだったりします。DJから転向したスキー選手がいるのもよくわかります。
Q4 ベンジャミン・アレクサンダーさんは、日本時間の13日に行われる「アルペンスキー男子大回転」に出場するようですね。注目しましょう。ちなみに、ジャマイカが参加していない競技など、テレビ中継などあるのでしょうか?
A4 ジャマイカ選手が参加していない競技に関しては、人気競技のスケートなどはテレビ中継されています。ジャマイカの、ローカルのテレビ局は2局しかなくて、そのうちの1局で中継されています。でも、そのほかのテレビ中継は、基本、有料ケーブルテレビのチャンネルで見られるくらいです。
Q5 ジャマイカでウィンタースポーツ、今後も盛り上がりそうですか?
A5 ジャマイカは人口の90%以上がアフリカ系黒人で、いろんな体形の人がいるんですよね。背が高い人、小柄な人、大柄な人、など、機会さえあれば、いろんなスポーツに長けていて、これからも、今までジャマイカになかった競技で活躍する人がふえてくると思います。実際に、アイスホッケーのチームもあります。まだまだ弱小ですが、他国との練習試合に勝ったこともあります。