8月も中旬にさしかかり、「盆踊り」の時期になりました。今年、3年ぶりに開催するというところもあれば、今回も中止というところもあるようですが、あなたのご近所ではいかがですか?

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さて、この盆踊り、海外でも開催されていることをご存知でしょうか?おもに現地在住の日本人や、日系移民の方が中心となって行われてきた盆踊りが、いま、大きな注目を集めているそうです。

そこで、この時間は「世界の盆踊り事情」と題して、盆踊りが行われている2つの国の番組通信員の方に回線をつないで、お話を伺います。

●マレーシア・クアラルンプールにお住いの小花 馨さん

Q1 先月16日、クアラルンプールで3年ぶりに開催された盆踊り大会になんと5万人が参加した!とのことでいろいろ伺いたいんですが、まず、この盆踊り大会の歴史について少し教えていただけますか?

A1 はい、結構歴史があるイベントでして、1977年に日系企業の駐在員とその家族に日本の文化を感じて頂こうという理由で開催されたのがきっかけと聞いております。それが、クアラルンプール日本人会主催で一般の市民にも開放されてイベントとして認知されるようになりました。今年で46回目を迎えます。

Q2 かなりの歴史ですよね。ちなみに、前回、3年前の参加者がおよそ3万5000人、今年の参加者はさらに増えておよそ5万人だったということですが、混乱などなかったのでしょうか?

A2 余りにも人が多すぎて駐車場が足りなくなり、路上駐車が急増したため大渋滞が発生していました。それとこちらも混雑により、携帯電話の電波が一時的に通じなくなり、友達同士の待ち合わせなどかなり苦労する状況が発生するくらい、大盛況だったようです。今年は例年よりも出店が多く、日本食を楽しみに参加された現地の方々もたくさんいたのですが、どのお店も長蛇の列。知人が焼き鳥店を出店していたのですが、2000食あまりが1時間で売り切れたそうです。

Q3 なぜ、マレーシアで日本の盆踊りがここまでの人気になったんでしょうか?

A3 マレーシアはもともと親日家が多く、日本文化に興味がある方々が多いという土壌がありました。そこにアニメや、そこから派生したコスプレ文化の影響で浴衣を着てイベントに参加したい、日本文化にもっと触れたい、という方々が自然と集まるようになりました。日本人会の方々を中心に、魅力あるイベントづくりを尽力されたという部分も大きく影響していると思います。今年の開催は3年ぶりということもあり、またコロナの状況で文化的イベントに飢えていたという環境も後押しし、常連の参加者にプラスして試しに日本文化を体験してみよう!という方々も多かったと聞きます。

Q4 宗教を担当する閣僚が不参加を呼びかけたことも話題になったそうですね?

A4 宗教担当大臣がイスラム教の信仰に抵触する宗教的行事なのでイスラム教徒は参加しないことを推奨しましたが、開催地であるセランゴール州の州王が、歴史ある文化的行事で日本の宗教的な信仰を啓蒙するイベントではない、と真っ向から反論したことで話題になりました。これにより、参加へのハードルを下げることが出来た部分もあるようです。

Q5 ちなみに、小花さんは以前、このクアラルンプール盆踊り大会で食べ物を売られていたことがあったとか?!会場の様子はどうだったのでしょうか?

A5 5年前にイチゴ大福や、おはぎ、ほうじ茶のアイスクリームなどを販売していました。当時は今年ほどで店の数も多くなく、3000個用意したイチゴ大福はあっという間に売り切れました。他には焼き鳥やたこ焼き、お団子など日本に関連したお食事を販売されている出店が多かったです。(今年は浴衣の販売&着付けを実施しているお店もありました。)ちなみに、盆踊りの曲は現地の人も覚えて踊りやいように、「大東京音頭」や「花笠音頭」など含め計4曲を3~4セットに分けて繰り返し踊る形態をとっていました。最後のセットなどは現地の方々も踊りや掛け声も覚えているので、櫓を中心にものすごい人のうねりで、大盛り上がりです。恥ずかしがり屋ながらイベントは大好きでノリがいい、というマレーシア人の性格もあり、日本の盆踊りとはまた違った盛り上がり方を見せますね。

JK これは来年以降、さらに盛り上がっていきそうですね。

●アルゼンチン・ブエノスアイレス竹内 佐知子さん

Q1 アルゼンチンにも、なんと1万人以上が参加する盆踊り大会があるそうですね?

A1 ブエノスアイレスの市内から南へおよそ60キロほど行くと、ラ・プラタ市という比較的大きな街があるのですが、市内からさらに15キロほど行ったところに、日本からの移民が多く生活している居住区があって、そこにある「ラ・プラタ日本語学校」の敷地内で、毎年1月に盆踊りが行われています。最初に開催されたのが1999年で、日本語学校存続の為の資金集めの目的で生徒の親達が企画して始めたそうです。ちなみに、南半球なので、開催する1月は真夏になります。

Q2 竹内さんも以前、このラ・プラタの盆踊りに行かれたことがあるそうですね?

A2 私が初めて行ったのが2000年で、盆踊り開催2年目でした。その時は、日本の田舎の町内会の盆踊りといった感じで、ほのぼの、ゆったり、のんびりというお祭りだったので、まさかこんなに大きなイベントに成長するとは想像もしませんでした。初めていった時は、日系人の方がはるかに多く、ちらほらアルゼンチン人の姿も見える程度でした。

Q3 その盆踊りが、今では1万人以上が参加するほどになったということで、近年の様子はどんな感じなのでしょうか?

A3 今では大勢のアルゼンチン人の中に、日系人の姿がちらほらと言っても過言ではない程、 人の数も出店の数も20年前とは比べ物にならないほど増えました。普段は田舎の静かな場所が、とんでもなく人で溢れかえって賑かになる、大きな大きなお祭りです。この祭の会場に行くには、車を持ってる人以外、交通の便があまりよろしくなく、ブエノスアイレスから予約制のチャーターバスが出ているそうです。それほど不便な場所に、1万人以上もの人が集まるというだけでも物凄く驚くべきことだと思います。会場の様子は、日本のアニメや、漫画の影響も大いにあると思いますが、浴衣を着ているアルゼンチンの人の姿を本当に沢山の見ることができ、また浴衣だけではなく、アニメのコスプレで参加してる人たちもいて、私などは、踊るよりも祭に参加している人たちの人間ウオッチングの方を楽しんでいます。日本から遠く離れたアルゼンチンの田舎町で、河内音頭やアラレちゃん音頭で、アルゼンチンの人達が何重もの輪を作って盆踊りを踊る様はまさに圧巻です。

Q4 ちなみに出店はどんなものがあるのでしょうか?

A4 出店も年々多くなり、雑貨、衣料品、金魚すくい、飲食店などバラエティーに富んでいて、特に屋台の食べ物は人気があり、店の前には長い列が出来ています。焼きそば、焼き鳥、かき氷、たこ焼き、お好み焼き、日本のお祭りの出店となんら変わりはありません。ただし、味の方は保証しかねますが....これは、私が日本人だからであって、現地の方達には全く問題ないようです。ただ、5年前からアルコールの販売が禁止になったようで、ラ・プラタに住んでいる私の知人が丹精込めて作った梅酒をもう販売できないと嘆いていました。

Q5 ただ、ラ・プラタの盆踊り、今年の開催も中止だったそうですね?

A5 コロナウイルスの感染拡大予防措置で2年ほど開催中止となっていて、来年2023年にはまた再開されることを待ち望んでる人達が沢山いるので、願いが届くといいな、と思っています。