WBC=ワールド・ベースボール・クラシックが盛り上がっていますね。3大会ぶりの世界一を目指す日本は、昨夜、準々決勝でイタリアに9-3で勝って準決勝進出が決まりました。

さて、今朝のこの時間はWBCに出場している国と回線をつないで、お話を伺います。

●昨夜、日本と対戦しましたイタリア ローマ在住 / 村本 幸枝さん

Q1 イタリアは日本に敗れ、ベスト8で敗退となりました。この結果についてイタリアではどう報道されていますか?

A1 初の準々決勝進出を果たしたアズーリ(イタリア代表)は、途中、フレッチャーの満塁打で2点を奪い、チームのスターである大谷を交代させるなど、4回から5回にかけて最大のチャンスを迎えたが、その後、ダルビッシュ有をはじめとする投手陣に完全に攻撃を封じ込められ、さらに村上と岡本が再びリードを広げ、そして、吉田のホームランという日本の実力を見せつけられる結果となった。とは言え、フレッチャーがダルビッシュから奪った大会初のホームランや最終回で日本と同じ数である8本のヒットを放つなど、最後まで戦い抜いたアズーリに拍手を送りたい。アズーリは、2026年大会への切符を手にして試合を終えることができた。優勝候補である日本チームの動向は今後も目が離せない。と報道されていました。

Q2 ところで、イタリア国内でのここまでのWBCの盛り上がりについて伺えますか?

A2 サッカーと同じく、野球もセリエはあるのですが、ごく一部のファンはいるものの、野球自体の認知度が低いので、イタリアでは特に盛り上がっている...という感じではありません。実は私もWBCが開催されていることは知らなかったくらいです。ニュースを見ていても、スポーツチャンネルなどで自ら情報を探しにいかないと、サッカー以外のニュースはあまり入ってこない状況です。野球ファンはパルマやボローニャなどの北部に多いので、その辺りでは多少は盛り上がっているのかもしれません...。

Q3 情報を探しにいかないとWBCの情報が得られないとのことでしたが、スポーツメディアでは、どんなことが報じられていたんでしょうか?

A3 日本戦の前に出ていた情報なんですが、「キューバ戦とオランダ戦で好調だったマット・ハービー投手が日本戦に出場できないのは痛手だが、ジョー・ラソルサや、アズーリ (イタリアチーム) 打線の中で好成績を見せているニッキー・ロペス期待したい。イタリアが対戦するのは、世界最強の選手、大谷翔平がいる日本チーム。とは言え、野球は想定以外のことが起こり得るスポーツ。アズーリが壮大な小説の新たな1ページを我々に見せてくれるかもしれない。」また、他の報道(スポーツ紙)では、日本との戦いを、立場的に弱いとされる者が強大な相手を打ち負かす例えに使われる旧約聖書の「ダビデとゴリアテの戦い」 に置き換えていました。いかにもイタリアらしい例えです。

Q4 日本の選手層に関してはどんなことが報じられていましたか?

A4 日本は、メジャーリーグのトップスターが何人もいること、日本のプロ野球がアメリカのメジャーリーグと並ぶ最強の力を持つことなど。なかでも、大谷翔平選手は野球界の「Gitante (巨人)」としてクローズアップされています。その他、ダルビッシュ有、ラース・ヌートバー、吉田正尚、中村悠平、近藤健介、牧秀吾選手の名前も上がっていました。

Q5 最後に、イタリアで野球人気があまり広がらない理由はどんなところだと分析されますか?

A5 以前、イタリアの野球チームを取材したことがあるのですが、彼ら曰く野球はルールが複雑で理解しにくい上、様々な作戦が必要だし、進行が遅い。その辺がイタリア人の気質に合わないと語っていました。スピード感があって、ボールを蹴ってゴールに入れるということで完結する比較的単純で分かりやすいサッカーの方がイタリア人向きなのだそうです。

●アメリカ・北カリフォルニア在住 / 大西良子さん

Q1 WBCのアメリカでの盛り上がりについて教えてもらえますか?

A1 移民の国アメリカでは、野球が国民的スポーツである日本と韓国、中南米出身者が多い大きな町なら、満員になるでしょうね。もちろん、中南米出身者が多い今回のマイアミの決勝戦は、盛り上がるでしょう。チケット販売のサイトを見たら、200ドル以上する準決勝戦のチケットが売り切れ間近となっていました。ただ熱狂的なWBC野球ファン以外はあまり盛り上がっていない印象です。

Q2 ロサンゼルス・エンゼルスの大谷選手が日本代表として活躍していますが、大谷の活躍が伝えられたりは?

A2 「ショーヘイ、ショータイム」というアナウンスは、普段、ラジオやテレビでも試合中継が流れるとよく聞きます。野球好きの人なら絶対に知っている日本人と言えるでしょう。私の知り合いは大谷翔平選手の「首振り人形」を机の上に飾っています。一方、日本では有名なセントルイス・カーディナル、ヌートバー選手は出身がロサンゼルス。空港近くのエルセグンドという街の出身ですが、地元の新聞社の扱いは静かですね。高校生のときに何度か報じられていましたが。アメリカは広いし、ほかにもたくさん注目する選手がいるので、単にロサンゼルス出身だからというだけで地元の新聞やテレビが追いかけるということはなさそうです。でも今後の活躍に期待したいですね。

Q3 アメリカは日本時間のきのう、コロンビアと対戦、この試合で勝って準々決勝に進出となりましたが、 この結果はどう報じられていますか?

A3 ネットには結果が出ましたが、普通のニュースでは扱われていませんでした。

Q4 アメリカはWBC前回の王者ですし、今回、連覇を狙ってメジャーリーグのスター選手もたくさんチーム入りしているのに、なぜ盛り上がりに欠けるんでしょうね?

A4 まず、アメリカでは3月は「マーチ・マッドネス」といって、どちらかというと男女の大学バスケットボール選手権のほうに注目が集まる時期なんですね。それからWBC自体が比較的新しいこともあって、認知度がいまひとつ。やっぱりワールドシリーズ(アメリカンリーグとナショナルリーグの対戦)が一番、という考え方が根強いんですね。さらにWBCは公式戦が始まる前のオフシーズンに行われるので、休むべき時間にほかの試合に出る、という選択をしない「オフ」と「オン」がはっきりしているアメリカ、だからかもしれません。万が一怪我などしたら大変ですからね。だから超有名選手が集まりにくく、そうするとあまりスポンサーも集まらず・・・・。でも野球好きの私の知り合いは「是非超大物の選手を集めて、オールスターチームを作ってほしい」と熱っぽく語っていました。