きょう12月1日は「映画の日」です。映画産業の振興を目的とする「映画産業団体連合会」が、1956年に制定した記念日です。ところで、外国の映画やドラマをご覧になる際、お聞きのアナタは字幕で観ますか?それとも吹き替えで観ますか?もちろん、オリジナルの言語のままご覧になる方や、ジャンルによって分けている、という方もいらっしゃいそうですね。

ということで、この時間は2つの国の番組通信員の方に回線をつないで、現地の「字幕・吹き替え事情」についてお話を伺いましょう。

●イタリア・ローマ在住 / 村本 幸枝さん

Q1 イタリアでは、外国の映画やドラマ・アニメは字幕で観るか、吹き替えで観るか、どちらがポピュラーなのでしょうか?

A1 イタリアは基本的に映画館でもテレビの放映でも全て吹き替えです。イタリア人は字幕で観るという習慣がないので、映像と字幕の両方を追うのは苦手なようで、オリジナルの音声で聞きたい、観たいという観念も一般的にはないようです。

Q2 ということは、映画もテレビも基本、イタリアの声優さんが吹き替えをしているということなんですね?

A2 映画館での新公開の映画でも全て吹き替えとなっています。そのため、ハリウッド映画を観ていても全く違和感がなく、声優さんたちのレベルは非常に高いように感じます。

Q3 日本のアニメはイタリアでも人気なんですよね?例えば、キャラクターの名前もイタリア仕様になったりするんでしょうか?

A3 衛星放送やストリーミングTVなどの豊富な選択肢がなかった頃は、日本ではひと昔前に放映されたいた「キャプテン翼」や「アタックNo.1」「エースを狙え」「ベルサイユのバラ』などが、民放の地上波で放映されていました。 ただ、主人公の名前が日本名で、特に子供には覚えにくいという理由で、 キャプテン翼の翼は「Holly (イタリア語読みオリー)」 「アタックNo.1」の鮎原こずえは「Mimi (ミミ)」「エースを狙え」の岡ひろみは「Jenny (ジェニー)」 「ベルサイユのバラ」のオスカルは「Lady Oscar (レディー・オスカー)」という名で親しまれていました。ちなみに「ベルバラ」は「レディー・オスカー」が番組名にもなっていました。また、フランスと同じく随分前に地上波で放映されていた「子連れ狼」で子供(大五郎)が父親の拝一刀(おがみ・いっとう)を「パパー!」と呼んでいたのが個人的にかなりウケました(笑)。

Q4 近年、海外のアニメファンは、日本のアニメを自国の吹き替えではなく、あえてオリジナル(日本語)で聞く人が多いと聞きますが、イタリアではそういったムーブメントはないのでしょうか?

A4 衛星放送に「MANGA TV」というアニメだけを流しているチャンネルがありますが、こちらも基本的に声は吹き替えです。ただ、漫画本ではイタリア語訳ではなく、オリジナルを好むアニメファンはそこそこいるようです。先日、あるショップのブックコーナーで隣にいた小学校高学年のイタリア人の男の子に「日本の人?」と声をかけられ、カタコトの日本語で話しかけてきたので、驚いて「すごいねぇ~」と感嘆したら、漫画を原語で読みたいから日本語を独学で勉強していると言っていました。そこで今一番好きな漫画は?と尋ねらたら「これ」と見せてくれ、タイトルは忘れてしまったものの、誰の漫画?と尋ねたら「トイレの花子さん」を描いた人と日本語で返され、さらにびっくり。

●インドネシア 加藤 ひろあきさん(ジャカルタ在住 ミュージシャン・タレント・俳優・MC・翻訳・通訳と幅広く活動)

Q1 インドネシアでは、外国の映画やドラマ・アニメは字幕で観るか、吹き替えで観るか、どちらがポピュラーなのでしょうか?

A1 メディアによります。例えば映画館で観る映画であれば圧倒的に字幕が多いですが、テレビ放送となると吹き替えも主流になってきます。

Q2 インドネシアでも日本のアニメはたくさん放映されているんですよね?日本のアニメの場合はどうですか?

A2 特に90年代、2000年代初めは日本のアニメをインドネシア語吹き替え版でやっていました。遡れば「みなしごハッチ」、「忍者はっとり君」、「パーマン」、「ドラえもん」、「キャプテン翼」、「セーラームーン」、「ドラゴンボール」、「クレヨンしんちゃん」などは吹き替え版を覚えている方が多くいる印象です。映画館やインターネットコンテンツでは圧倒的に字幕が多いと思います。

Q3 インドネシア語での吹き替えによる違和感はあったりしましたか?

A3 各アニメの主題歌やエンディングテーマがインドネシア語に置き換わっているのは毎回すごく面白くて、なかなかインドネシア語にできないものを頑張ってインドネシア語にしている感じが大好きです。あと、「パーマン」に関しては名前が「P-Men:ピーメン」となっています。

Q4 最近、日本のアニメを日本語で楽しみたい、という方、インドネシアでも増えているのでしょうか?

A4 はい、その傾向はインドネシアでも大いにありますね。特にOTTサービス(インターネットコンテンツ)は字幕の選択が可能で、ことインドネシアにおいては今まで字幕ありで見られなかったような作品もインドネシア語字幕を付けて観れるようになっているのは大きいと思います。うちのインドネシア人の奥さんもOTTサービスを利用して日本の映画やドラマ、バラエティーなどをインドネシア語字幕で観て楽しんでいます。