あす、5月25日は「食堂車の日」。

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明治32年=1899年のこの日、日本で初めて食堂車が連結された鉄道が走ったことを記念して制定された記念日です。現在のJR山陽本線にあたる、私鉄の「山陽鉄道」が、京都と山口県を走る急行列車に調理設備を備えた食堂車を導入。洋食が提供されていたそうです。

その後、鉄道の発展とともに全国の長距離列車や新幹線にも食堂車が導入されましたが、その数は徐々に縮小。現在は観光列車のみで、常時営業する食堂車はなくなってしまいました。ただ、この「食堂車」、海外ではまだまだあるそうです。

今朝は「世界の食堂車事情」と題して、2つの国の番組通信員の方にお話を伺います。

●スイス・グリンデルワルトで日本語観光案内所を運営する安東 康代さん

Q1 スイス国内を走る長距離列車には今も食堂車があるんですよね?

A1 ICE(インターシティ エクスプレス)という、ドイツからヨーロッパ各国の都市をつなぐ列車には食堂車がついています。ワインや、シャンペンなどを飲みながらゆっくり過ごす方も多いので生ハムとチーズの盛り合わせや、暖かい食べ物としては煮込みスープとパンやソーセージ、じゃがいもの細切りをカリカリに焼いたスイス料理の「ロシティー」やパスタなどが提供されています。

Q2 スイス国内をつなぐ路線でも、食事ができる長距離列車があるんですって?

A2 「グレッシャー・エクスプレス(氷河特急)」が人気です。全線で8時間ぐらいの乗車となりますので、ほとんどの方は車内で昼食を取ります。実は、昔は食堂車があったのですが、現在は残念ながら廃止されて代わりに座席まで食事を運んでもらえる「食事サービス」となっています。料金は39フランから49フラン、日本円で6000円後半~8000円なかばくらいになります。     

Q3 「氷河特急」の食事サービスでは、どんな料理が提供されているのでしょうか?

A3 一般的には、デイリー3コースメニューとなります。サラダ、またはスープ、メインディッシュ、デザートです。メインはほぼ、お肉の煮込みとパスタまたはライスと温野菜が多いです。宗教的にお肉に制約がある方々にヴェジタリアンメニューもあります。ほぼ野菜のカレーの様な料理です。他にはチーズとハムも盛り合わせや、マカロニとひき肉の料理などがあります。

Q4 氷河特急では食堂車はなくなってしまったとのことですが、食事をしながらの列車の旅はいいですよね。やはり予約は取りにくいのでしょうか?

A4 予約は3か月前からとれるのですが、満席の日が多く、予約は取り合いになります。

●タイ・バンコク在住 / 木下 麻衣子さん

Q1 タイの長距離列車といえば、マレーシアやシンガポールに行ける豪華な寝台列車があるそうですが、食堂車もあるんですよね?

A1 マレーシアやシンガポールまで直通で行ける列車ですとイースタン&オリエンタルエクスプレスですが、イギリスベルモンド社が所有、運営する豪華寝台列車型のホテルという認識で、食堂車はもちろん、お食事自体がフレンチのフルコースであったり本格的なバーがあったり、生演奏があったりと、大変な人気です。お値段は3泊でお値段が54万円~186万円と、出発日程によって大きく差があるようです!凡人の私にはちょっと夢の世界に感じられます。まさに圧巻ですね。ただ、コロナ以降運休されていたものが最近再開されたのですが、現在はシンガポールウッドランズを出発し、マレーシアのペナンで折り返して戻る、3日間のプランのみの再開で、タイを含む路線は再開計画中との事です。

Q2 タイ国鉄の急行列車にも食堂車があるんですよね?どんなお料理が提供されているのでしょうか?

A2 街中のタイ料理屋さんにあるセットメニューのようなもので、日本のスーパーのお弁当のような仕切られた容器にご飯、グリーンカレー、春巻き、フルーツですとか炒飯、目玉焼き、シュウマイ、フルーツ。あとはお粥やサンドイッチなどもありました。お値段は4~500円程度から千円弱といった感じです。

Q3 こちらはかなりリーズナブルですね!そのほか、食堂車についてお話ししたいことがあれば・・・

A3 最近導入されたタイ国鉄のCNRという中国製の新車両には列車内にキッチンがあり、料理人さんがいてきちんとした食事を提供しているとの事で参考資料を拝見したのですが、そこには真空パウチを湯煎で温めたものをお弁当用のトレイに並べて盛り付けている料理人さんの様子が紹介されていました。新車両とのことですので、キッチンがまだ工事中なのかもしれません!